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合歓

すっかりサボり癖がつき、久しぶりのnote投稿となってしまった。

私は、京都で珠数職人をやっている。
職人と名乗ってはいるものの、極極小さな会社をやっているため、営業以外の何もかもを自分でやっている(営業は同僚の担当)。
発注、接客、電話番、出荷、合間にECサイト…雑用。

珠数をつくる仕事が好き。
好きな仕事をするために、好きではない仕事もやっていたら、何もかもやることになってしまったわけだけれど、こんな生活をなんとか10年以上続けている。

会社を続けていく上で絶対に欠かせない、重要な仕事だとは分かってはいるけれど、なかなか好きになれなかった仕事がある…経理事務。
10年以上続けて、最近ようやく少しだけ面白くなってはきたのだけれど…どうしても珠数をつくるのが好きな私は、経理の仕事を後回しにしがち。そして、事務作業が月末恒例の苦行のようになっている。
これがnoteをサボってた言い訳。

そんな苦行明けの珠数つなぎ

「合歓木」ご存知ですか?
ネムノキ、まず響きがカワイイ。
その響きのとおり、暗くなると葉をたたんで垂れ下がり「眠る木」が名前の由来とされている。そして、字面も良い。
歓びが合わさる木、中国では夫婦円満の象徴とされているとか。
お寺の境内に植えられていたり、庭木にしているお家もあると思う。

フワフワした花もカワイイ合歓木

そんな合歓木でつくった、お珠数。

刺高珠数 合歓木 尺三寸共

花の可愛らしさとは逆に、茶系の木らしい木、目立つような木目もない。
ただ、素材としては珍しいと思う。

そして、もう一つ珍しい素材で、同じ形の珠数つくった。

刺高珠数 栗と柳 尺三寸共

上側が柳の木、下側が栗の木。
栗の木は実家の近所にあったし、柳の木は京都では川沿いの街路樹として見かける。
けれど、珠数にしているのは珍しいはず。
私は初めて見た。
栗の方はシンプル、柳の方は面白い木目が出てる。

こうすると分かりやすい。
縞柄が出ている方が柳の木。

珠数の珠は大きくても12mmくらいなので、家具で映えるような大柄な木目は向かない。
木の珠数は、素材によって様々な表情を見せてくれる。
こうやって色々な素材に触れられるのが楽しい。色々な素材でつくるのが楽しい。
会社員の頃には、なかなか出来なかったことばかり。
同僚と喧嘩しながらでも、いっぱい不安を抱えながらでも、月末恒例の苦行をやりながらでも、会社を続けてきたからこそだと思っている。
やっぱり私は、珠数をつくるのが好き。



最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
では👋また次回。