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記事一覧
【タイ】軍政による強権発動の立法化でEUの勧告受入れへ
今年の4月30日、タイのウィサヌ副首相が暫定憲法第44条に基づき軍政が発動した強権措置を停止する一方で一部を立法化する方針であることを明らかにした。今年3月24日の総選挙結果に基づき民政移管を実現するには、同条に基づく強権発動措置は取り消しておく必要があるからである。
暫定憲法は、2014年5月のクーデター後、軍政自身が制定したものである。同憲法第44条の趣旨は、国の安全保障を脅かす恐れがあると
タイでの2019年の総選挙について
今年3月24日に行われたタイの総選挙は、2014年5月のクーデター直前に行われた2014年2月2日以来、約5年ぶりに実施された。(尚、2014年2月の総選挙は、司法裁判所によって無効とされたため、8年振りの総選挙とする見方もある)
3日間掛けて挙行されたタイ新国王の戴冠式が5月6日に無事完了した翌日、総選挙実施日から1か月以上経過した5月7日~8日に、ようやく「公式」の選挙結果が公表された(但し
タイの個人情報保護法とサイバーセキュリティ法について
世界的に個人情報保護に関する法律と、サイバーセキュリティ強化に関する法律の整備が進んでいるが、タイでも動きがあり、以下の通り最新状況をまとめた。
もっとみる岐路に立たされるタイの漁業及び水産加工業
タイが2019年の早い時期にILO(International Labour Organization、国際労働機関)の漁業労働条約(C188 - Work in Fishing Convention, 2007)に加盟する見通しとなった。同条約は、漁業者の健康状態の検査や住居の保障等の労働安全衛生面の待遇や、労働契約の書面化、16歳未満者の就労禁止等を通じて、主に24メートル以上の船舶上での漁業
もっとみる【タイ】サンクラブリー訪問記(6)
結果としてボランティア活動をしに訪れたサンクラブリーの訪問記。今回で連載最終回ですが、少し政治的に微妙な内容を含む為、有料記事としております。対価を頂きたい訳ではありませんので、もし、ご興味を持って頂き課金(購入)頂いた分は全て以下を通じて学校運営者に募金させて頂きます。
当方になんら政治的な思惑や、思想を押しつける意図、特定の宗教団体等との関わり等はございません。但し、この手の記事は、読み手の
タイ国内の石炭火力発電に対するアレルギーについて
一度染みついてしまった認識を改めるというのは難しい。タイの場合、過去に深刻な公害をもたらしてしまった石炭火力発電所がそれに当たる。
タイ北部メーモの発電所(โรงไฟฟ้าแม่เมาะ)は、タイ国内産で露天掘りされた安価な褐炭(イグナイト)を使う火力発電所だが、脱硫装置を付けることなく稼働し、周辺住民に深刻な健康被害をもたらしたことで、石炭火力発電所=公害の元凶と見做されるようになった。
タ
タイの電源開発計画(PDP)
タイのエネルギー省は 昨年(2017年)5月に、電源開発計画(PDP、Power Devlopment Plan)を見直すと宣言し、関係機関と共同で新たな計画を作成すると発表した。
その理由・背景をご存知だろうか?
現在、公表されているタイ電源開発計画は、2015年版のPDPで、対象期間は2015~2036年。今後20年以内に計5,746万kW分の発電所を新設又は増設する一方、電源構成を201
【タイ】東部経済回廊(EEC)開発について
タイが次々と打ち出す投資奨励策の詳細に対し、既にタイに進出済みで、追加投資を検討している日系企業の関心は高いが、一般的には日本のタイに対する認識度は20年前のままで、今タイがどのようなステージにいて、何に悩んでいるのかついての関心は高いとは言えない。よって、日本経済新聞での取り上げ方も、バンコクポストなどの現地英字誌での取り上げ方に比べると、盛り上がりに欠ける内容となっている上に、誤解され勝ちな用
もっとみるカンボジアでの反タイ暴動
(前回はこちら。目次相当の導入部はこちら)
1.2003年の暴動
2003年1月23日、カンボジアのメディアが、タイの有名女優が出演したテレビ番組で「アンコールワット」をタイに返還すべきと侮辱したとの噂が流されたことに端を発し、フン・セン首相も「アンコールワットを盗もうとする『泥棒スター』だ」と批判する発言をしたことから、カンボジア国民の潜在的な嫌タイ感情に火を着けた。
1月29日には、約3
タイのプレアビヒア占拠と撤兵
(前回はこちら。目次相当の導入部はこちら)
タイにとっての「失地」がカンボジアに帰属するという現状は、タイが国連加盟するための代償であったと認識されている。すなわち、連合国側の理論でモノゴトが決まるという新しい現実社会に適合する為の踏み絵でもあった。
しかし、ここでタイにとって予期していないことが起きた。カンボジアによるプレアビヒア寺院の領有権の主張である。
1954年のカンボジアのフランス