ブックオフで中古のMr.ChildrenのCDを250円で買い集めていたあの頃を想う
コロナ禍に入ってから、家の断捨離を急速に進めた。
ニトリで買ったカラーボックスを手放し、収納スペース自体を削減して、集めていた本や服をどんどん処分した。しかし、Mr.ChildrenのCD、その中でもとりわけ自分がおこづかいを貯めて買ったCDは、名残惜しくてなかなか手放すことができずにいる。サブスクで聴けるのだから手元になくったっていいんだけど、それはそれで味気なくて。
いつでも僕らの前には数千万曲が収納された「スマートフォン」という名のCDラックがあって、そこからちょちょっと引っ張り出してくるだけで好きな曲が聴ける。でも、サービスを退会してしまったら形として何にも手元に残らないんだなと思うと、ちょっと寂しい。
かつて、まだスマホもタブレットも持ち合わせがなく、家にもインターネット回線すらなかった頃。私の実家では、CDが唯一の音楽を聴く手段だった。もともと同居している叔父がミスチルのCDを集めていて、それを丸々すべて譲り受けたのが私だった。しかし、一部のCDは買っていなかったり、あるいは状態が悪くてパソコンが読み込まなかったりした。なのでその欠落した分を買い集めるために私は奔走した。
我が実家から自転車で5分のところにブックオフがあった。小さい頃はそこが一番近い本屋だったので毎週のようにそこに通っていたのだが、そこのCDコーナーをしょっちゅう覗いて、足りない分のアルバムが売りに出されていないかチェックしていた。
そうして手に入れたのが「Atomic Heart」だった。
ライブでも定番の爆発的なロックナンバー「Dance Dance Dance」、CD売り上げ戦争時代にMr.Childrenの地位を一気に押し上げた「innocent world」、初のミリオンセールスを記録した「CROSS ROAD」など、このアルバムがMr.Childrenの運命を決定づけたと言っても過言ではない、そんな傑作だ。
そんなミスチル最初の大ヒットアルバムだったにも関わらず、うちの叔父はなぜかこのアルバムを買っていなかった。ラジオから流れてきた「innocent world」が猛烈に聴きたくてこのアルバムを家で探したのだが見つからず、がっかりしたことがあった。後から考えてみるとこの傑作をなぜ叔父は買っていなかったのか不思議でしょうがない。その後、全てのアルバムを集結させると今度はシングルCDを買うようになった。
そんな風に私は「モノを集め続ける暮らし」をずっとしてたのだが、断捨離をきっかけに「持たない暮らし」への第一歩を踏み出した。一大決心をし、コレクションしていたDVDやCDたちをどんどん売りに出していったのだが、とにかく買取の値が付かない。100円以下は当たり前、状態が悪く買取不可なんてなことも言われる。
わかっちゃいるものの、自分が大切にしていたコレクションに値が付かないというのはショックである。10円で買われて80円で売られていく、数々のCDたち。なんだかなぁと思うのだ。時間と丹精込めて作り上げた芸術作品が、時の流れと共にこんなに安く売られてしまうなんて。その姿に私はなんとなく哀愁を感じ、でもこれもまた時代の流れかとしみじみと思うのだった。わずかながらに部屋に残った買取のできないCDたちを、僕はまだ処分する勇気がわかない。
そしてきょう、また新しい音が世に放たれた。夜中の0時、配信解禁と共に私はイヤホンを耳にした。Mr.Childrenと共に駆け抜けた桜のような青春の日々を想い、私は涙したのだった。
おしまい。
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