てぃくる 265 かつら
「なんや、えらい派手なかつらやな」
「お客さまのでかい態度に合わせるなら、それくらいじゃないと」
「わいのでかいのは態度だけやないで、あっちもや」
「当店にはそっち系のグッズはございません」
「冗談の通じひん店員やなあ。それよか、もっと毛が多く見えるのはないのんか」
「床モップならこちらにございますけど」
「ドレッドヘアか。ええなあ。はっはっは!」
だめだこりゃ!
☆ ☆
京都なら、ぶぶ漬け出すか、箒立てるところでしょう。
クヌギのライオンヘア。微妙なヘアアクセが付いていますが、お似合いのかつらじゃないかと。
クヌギの果実の殻や笠には多量のタンニンが含まれているため、古来から茶や黒を出す染料として使われてきました。橡というのはクヌギの果実や笠の呼称ですが、転じてそれを用いた色を示す言葉としても使われています。
媒染剤で色が変わり、灰汁との組み合わせで薄茶が、鉄との組み合わせで黒が出ます。
お天気のいい日に、クヌギのかつらで染物を楽しんでみてはいかがでしょうか。
つるばみの独楽並べ行く縁のうへ
(2016-10-06)