てぃくる 60 枕を高くして
「いらっしゃいませ。お客様、何をお探しでしょうか?」
「ああ、今使ってる枕が低過ぎてね。もう少しボリュームのある枕が欲しいんだよ」
「そうですね、テンピュールのものなどはいかがでしょう? 首や肩に負担がかからないので、寝心地がよろしいですよ」
「いや、私にはあの系統のがどうも合わないんだ。極端な話、箱枕でもいいくらいでね。固くて高いのが欲しい」
「うーん……それは、選択肢がなかなか……」
「だろうなあ。蕎麦殻や小豆のでさえ少なくなっているものな。せいぜいあってもパイプ枕で……」
「大変申し訳ないんですが、当店での扱いのものも柔らかい樹脂製のものが主流で、しかも小さめなんですよ。お客様の頭にフィットするものがございますかどうか……」
「って、なんで私の尻に向かって話し掛けてるんだっ!!」
☆ ☆
種を飛ばしてしまった跡が寂しいヒメムカシヨモギの花穂にナナホシテントウくんがぽつり。この枕ではよう眠れんとでもいうように、ごそごそ動き回っていました。
ナミテントウもナナホシテントウも集団越冬するんですが、樹皮や羽目板の裏などに大集団(時には数万匹!)をなして越冬するナミテントウと異なり、ナナホシテントウは小さな集団で草の根本などに潜って越冬するそうです。
彼は……お気に入りの枕が見つかったでしょうか。
浅く深く眠りの波にぷかぷかと
浮かぶ吾が腕枕にして寝る子
(2014-01-03)
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