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庄司薫『赤頭巾ちゃん気をつけて』読了

初読。芥川賞受賞作。

自意識過剰のインテリ優等生のむっつり助平の物語。こんなことを書くと悪口みたいだが、こいつがすごーくいい奴なのだ。青年期の不幸をすべて一人で背負い込み、苦しみ、喘ぎ、それでもそこから逃げずに頑張る(たまに逃げたくなるようだが)すごい奴なのだ。

東大紛争の時代、若者たちはまだ諦めていなかった。ただただひたすらに何かに向かい、何かにもがき、何かにぶつかり、それは端から見ると素人芝居にも見えるのだけど、それでも理想を目指していた。

その熱さを横から冷静に見ている主人公。でも内心は自分自身へのもどかしさ、熱くなれない自分に対する情けなさに悩んでいた。私にも確かそんな青春時代があったのを思い出した。

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