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本棚の航路~物語の海へ

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あの頃読んだ忘れられない本や、人生の曲がり角で出会った本、そしてただただ夢中になって読んだ本への一人語り。 【物語が、あの頃の私を生かしてくれた】
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『さよなら、ベイビー』里美蘭 / 人生が子ども自身のものならば、私は何を遺すだろう。

物語は、読むその時々に心に響く場所が違うから不思議なものだ。 七年ぶりに開いた本著は、人間関係が隠されたまま複雑に絡み合うミステリー。最後まで「誰が誰なの!」と脳内大混乱のまま読み終えて、奇妙な気分になった。 七年前、この小説を読みながらほたほたと泣いた夏は、私にとってはもう遠い過去のものになったのだ、と。 親なんていつか死んでしまうんだ。勝手に、何の断りもなく。 物語は、少年が逃げ出すシーンから始まる。 死の淵にある母親から。自分自身の命から。けれど彼は自分の命からは逃

『バンビ─森の、ある一生の物語』~生きる事は理不尽であるからこそ。

小鹿のバンビは かわいいな お花が匂う 春の朝 森の小やぶで 生まれたと みみずくおじさん いってたよ (中略) 小鹿のバンビは やさしいな 弱虫いじめ しないもの 今に 大きくなったなら すてきな ぼくらの王様だ              ~「小鹿のバンビ」作詞:坂口淳 バンビとの最初の出会いは、まだ保育園にも上がらない頃だった。 自宅にあった赤い色のレコード盤から流れ出す楽し気なメロディに合わせ、幼かった私は、母と共にその歌を何度も歌った。 生きる事の楽しさ、仲間たち