読書感想文の感想文『凍りのくじら』
本を読んで自分の中に感じるなにかがあったとき、私はその本をこの先輩に薦める。絶対に先輩は先輩の視点で読書感想文を書いてくださる。
今回薦めた本は辻村深月『凍りのくじら』である。
今までに読んだ作品では『朝が来る』『かがみの孤城』が印象に残っている。パワフルで、文章が綺麗で、芯の強さを感じる作者だと感じている。
はじめに、先輩はいつも私が本を薦めた時に「友人のオススメ」という言葉を使う。先輩に友人という言葉を使ってもらうというのはいつもくすぐったい気分だ。私がこの先輩に対して抱く印象は、「少し・ふわふわ」。先輩自体ふわふわした人だなぁと思うが、ふわふわを捕まえるのも上手いと思う。ふわふわの言語化ができる人だ。そんな先輩の感想文がこちら。
このように主人公との共通点を書き残しておきたいのは、後に主人公が何をどのように乗り越えたのかが、自分にとって何か参考になるのではないかと思うからです。
私が先輩の感想文でいつも印象に残るのは、先輩がこれは同じ部分だ・似た気持ちになったことがある・わかるなどという部分を書き残していることだった。だからこの部分でとても納得した。先輩の本の読み方が少しわかったような気がした。
私は自分の人生の指針になるような一文を本に求めているような節があると思っている。そういう本の読み方は先輩の本の読み方に共通点があって、それで私は自分の良かったと思う本をこの先輩に読んでもらって感想を聞くんだと思う。
私はこの本の主人公と反対の性格をしていると思う。他人に深入りして感情移入してしまうし、仲のいい人なら胃まで痛くなるほど自分事にしてしまうタイプだし、気に食わないルールがあったら戦う側にいる。
人には色んな要素があるので、十把一絡げに同じか反対かで片付けることはできないはずだ。人と人、あるいは自分をすぐに似ているか反対かで位置づけてしまうのは私の悪い癖だと思う。
では、私はこの本のなにが良いと思ったのだろう。客観的に見るとだいぶん気の毒な人生を飄々と生きる強さのある主人公の意外と人間らしい執着心だったり、ちゃんと垣間見える優しさだったり、そういうところが良かったのかな。
私が感情ファーストで生きているので、その辺をしまい込む人を不思議だと感じることもあるのだけれど、そういう人に重なったりもしたのかもしれない。
うーん。
やっぱり読書の感想って難しい。
大きななにかふわふわしたものを言語化できない。
大きなふわふわが残る本。次にそんな本にであった時も、自分の中に落とし込めずにまた先輩に薦めるんだろうなと思う。