第4話(1/4) 青鬼の思い出
護衛艦「ゆうぎり」の見学も終わり、記者陣は大会議室で最後の五辻総監との懇談が始まるのを待っていた。瑞樹は海上自衛隊の勉強ノートを見ながら質問の最終確認をしていた。しかし、5分経ち、10分経っても制服を着た人すら誰も部屋に入ってくる気配はない。さすがに周りの記者も「なんだか遅すぎないか・・・」とざわつき始めた。
瑞樹も気になっていたので船頭に話しかけようと思ったが・・・いない・・・!?
『ん・・・あのハゲ、いつからいなかったの?全く気が付かなった。そういえばイビキがなかったからだいぶ前からいなかったわね』
すると広報係長の鳥山3佐が急ぎ足で大会議室へ入室してきた。
「皆様、大変申し訳ありません。総監の五辻は急遽予定が入ってしまいました。終わりの時間が未定かつ長時間を要する可能性が高いため、懇談は取りやめとさせていただきます。本日の見学会は急ではありますが、ここで終わりとさせていただきます。」
周りの記者が質問を始めた。
「鳥山さん!!何かあったんですか?」
「理由を教えてください!!」etc…
鳥山3佐は「申し訳ございません。お答えしたいのですが私もまだ状況を把握できておりません。ご容赦ください。皆さま、お忘れ物のないようお帰りください。誠に申し訳ございません。」
記者陣はあきらめた様子で荷物を片付け始めた。
瑞樹は『なにがあったのかしら・・・というかあのハゲはどこに行ったのかしら』と思っていると記者陣の携帯電話に着信音があった。
「北朝鮮がミサイルを打ったって速報メールが来てるぜ。これが原因か?」とざわつきながら三々五々、大会議室を後にした。
瑞樹はひとり駐車場にとめた黄色のジムニーの前でどこにいったかわからない船頭を待っていた。
「ほんと自由人だわね・・・・。車のカギを持っていたら間違いなく置いて帰ってるわ」とスマホをいじりながら思っていると、
「山口さん、ごめんごめん!ちょっと知り合いに会ったから話し込んでたら見学会のことすっかり忘れてたよ。帰ろうか」と船頭記者が近づいてきてジムニーの運転席に乗り込む。
瑞樹は助手席に座り「船頭さん、何してたんですか?五辻さんとの懇談も中止になってしまったからかなり待ちましたよ。連絡の一つくらいくださいよ!」と文句を言う。
船頭は「北朝鮮が日本横断のミサイル打っちゃったからしかたないよね。情報は本社に流しといたから仕事していたと思って勘弁してよ~。そうそう五辻さんが明日の夜19時に田戸台に来てくれって言ってたから一緒に行こうか。タダ酒にありつけるよ。ありがたや、ありがたや~ワッハッハ~。」
瑞樹は船頭の話を聞いて、絶句するしかなかった。
第4話(2/4)につづく…
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