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十二国記と私〜もしくは、小野不由美作品と私

十二国記、ご存知ですか。
小野不由美著、中国風異世界を舞台にした壮大なスケールで描かれる小説ファンタジー。作品は完結していないけれど、シリーズはまだ続いている作品。

今回、この作品が東宝からミュージカルになるよ、というニュースが流れて来ました。
https://www.tohostage.com/12kokuki/

そのスケールの大きさたるや! あっという間に私のタイムラインはこの話題で染められたわけです。

かつてはNHKでアニメ化にもなりましたし、ドラマCDにもなったことがある。
なにしろ、初出は講談社の少女小説レーベルホワイトハート。1992年に「月の影 影の海」が刊行されています。ざっと数えて33年前ですから……。(計算してびっくりしたわ)
まだシリーズは続いているし、なんなら、最新作は2019年。
ファンも様々、層が厚いのは確か。

そして、この作品の構成が立体的すぎて、物語に触れる入り口が幾つも存在することから、しばしば「ご新規さんはどの順番で読むのがいいのか」問題が立ち上がるわけで。

今回も案の定、SNSで取り沙汰されているわけで。
それをみるたびに、個人的には、「月の影 影の海」の前年に発表されて、数年後、実は十二国記エピソード0でした、と判明した「魔性の子」から読んでほしい派です。

理由?
単純にリアルタイムで読んでいたから(笑)
初読の衝撃がどの本も強いので、自分が味わったカタルシスを味わってほしい、っていう気持ちがどうしても強くなるんだと思うんですよね。この読む順番論争って。
加えて、どうしたってウキウキワクワクだけで始まるお話たちではないので()
できれば、発表順に読んで欲しいなあ、と私は思うわけです。

そもそも、魔性の子を手に取った理由が、少しばかり不純で。
ファンタジーノベル大賞、というものがあって。その第一回受賞が酒見賢一著「後宮小説」。
当時、一社提供、完全オリジナルアニメ、CM一切なし、ノーカット放映というとんでもない形で世に出された作品を見て、世の中にはこんなに面白い文学賞があるのか、と感心したのでした。(アニメ版のタイトルは「雲のように、風のように」)
それから、書店で、ファンタジーノベル大賞と銘打ってある本を探して、購入。
「月のしずく100%ジュース」と「魔性の子」を同時に買った記憶があります。今思っても、ラインナップがおかしい(笑)
でもあの頃、ジャンル別の文庫レーベルがあちこち出ていた、ん、だよな……。角川のホラー文庫とか、乱立始めていた記憶。多分、ミステリーブームも起きてたんだよ……。いずれも面白いお話なので、当たれる人はぜひ。
三冊の中で、断然面白かったのは、魔性の子。
面白い話を書く人は、他に書いた話も面白いに違いない。
作家推し、箱推しになる要素はこの頃からあったんでしょうね。
「金鯱の夢」と、「東亰異聞」を単行本で買い求めたので(笑)
東亰異聞は、祖父の入院付き添いのベッドサイドで読みました。何度も後ろを振り返りながら。いい思い出ですな……。

小野不由美の入口がホラーでしたから。次に当たったのは、「過ぎる十七の春」「ホームグリーンホーム」。
悪霊シリーズはこの後で。
すでにこの頃には悪霊シリーズ(少女小説は店頭から消えるのも早い)を探すのも困難で、古本屋をいくつも当たった記憶。
同時くらいに、十二国記に行き着いた。「東の海神西の蒼海」が出た直後だった記憶。

当時、魔性の子から入っている人が自分の周りにいなくて。
あそこ(笑)で、めっちゃ声が出たのは良い思い出(笑)。夜中に大声出して、叱られましたね(笑)

屍鬼もハードカバーで揃えたし、それぞれ作品も版元が変わるたびに購入して揃えました。かるかや営繕も、残穢も震えながら読んだし、くらのかみも本棚に入れてある。

十二国記も渋谷サイキックリサーチも大好きです。
悪夢の棲む家、いやまじ本当に怖かった。どこがって、廊下を拭っていくシーンの描写、いやなにあれ。すごいよ。うん。

好きな作家さんは、と言われたら、迷わずあげる5本の指に入る方です。その中でも、おそらく一番人に勧めた作品が十二国記だと思います。
その度に、魔性の子から読んでね、と勧め、「月の影影の海」の上巻で「このお話どこが面白いのぉお」と泣きが入るたびに「ネズミが出るまで、ネズミまで頑張って」と声をかけたのはいい思い出です。
そうして、「風の海」の冒頭で新鮮な悲鳴を聞くことが楽しみだったのも、また事実(笑)

もちろん、好みがあるし、ネズミがと言われても、そこまで頑張れない読書体験になる可能性だって知っています。そんな辛い思いして読書はするものじゃない、と言われればそれもそう。
でも、きっとこの物語を面白いと思ってくれる人にしか勧めていないのも確かなので。

ミュージカル化、楽しみです。
そして、新しくこの作品に触れる人が増えますように。
さらに小野不由美作品のあれこれに触れる人が増えますように。
物語の根底にある、人とはこういうものだがそれでも希望は捨てたくない、という永遠の命題が新しい人たちにも受け継がれていくといいなあ、と願うばかりです。

結論。
小野不由美作品は、いいぞ。

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