5年ぶり、3度目の入院
2024年5月。
5年ぶり3度目の入院をした。
今回の病名は「癒着性小腸イレウス」
簡単に言うと「腸閉塞」
(厳密に言うと、イレウスと腸閉塞は別物らしい)
イレウス。
開腹オペをしている人が比較的なりやすい病気の一つ。
人間の体はとても機能的にできていて、肋骨から骨盤の間の腹の中に消化器と呼ばれる臓器がきれいに詰まっている。
その中でも腸はたいへん長くて、小腸で6メートル、大腸で1.6メートルもある。合わせて8メートル近い管が絡まりもせずにコンパクトに広くない空間でふよふよと浮いている状態、だと思って欲しい。
その秩序保たれている空間を一度でも開腹すると、バランスが崩れるらしく、ふよふよと漂っている腸がひっついたり(癒着)、絡まったり(絞扼)、重なったりすることがあり、流れが滞ることをひっくるめてイレウスと呼ぶ。らしい。
ざっくり説明だけど、だいたいこんな感じ。詳細は調べていただけると色々出てきます。
このイレウス。突然、なんの前触れもなく発症する。
予防策も決定的なものはなく、できることと言えば、消化の良いものを食べて、通過障害が起こる可能性を低くすることと、腸が良く動くように適度な運動を続けること、くらいしかない。
また、発症すると定期的に再発を繰り返すとも言われている面倒な病気だ。実際、身近にも何度も発症している人がいる。
一度でも開腹オペをしているのなら、発症させないことを目標にひびきをつけるしかない。
私は過去2回、開腹オペをしている。
1度目は直腸癌で。
2回目はイレウスで。
この2回目のイレウスのとき、症状が出てから、病名が確定するまでに3日程かかっていて、その間に症状が進行、特定できた時にはかなり悪化していて緊急オペを行なっている。腸が何箇所か捻れて壊死しかかり、腹膜炎まで併発していたという。――正直、このことについて、当時担当してくれた医師にはかなり恨みを抱いていて(笑)病名確定までの3日間の苦しみについては、一生愚痴るつもりでいる(笑)
話がズレた(笑)
前回のイレウスの時、本当に本当に痛みがすごくて。
息もできないくらいの痛み、何をしてもどんな格好をしても苛まれる苦痛。与えられた鎮痛剤は30分しか保たないのに8時間の間隔を空けろと医師も看護師も言い放ち、そのくせ同じ鎮痛剤を繰り返し投与された。(恨んでる恨んでるw w w)
眠ることすらできず、痛みで気絶するように寝ていたあの体験は忘れられない。
――また、術後にもいろいろあって(笑)この時に痛みの閾値がかなり上がってしまいたいていの痛みには耐えられるようになってしまった。
この痛みは2度と味わいたくない。
そう誓って、食生活にも運動習慣にもかなり気を使ってきた。2度とイレウスになんてなるもんか、と誓ってきたのに、だ。
明け方、あの時と似ているようで、ちょっと鈍い痛みが下腹部から起きた。
今思えば。
イレウスだってわかっていたんだけど、認めたくなかったんだろうな……(笑)
最初に想定したのは膀胱炎。
その次は憩室炎。最後に候補に挙げたのがイレウス。
じわじわと痛む腹は、そのうちに治るかもしれない、なんて甘い考えを持ちながら、いつものルーティンをこなしていく。
弁当を作り、朝食を食べて、仕事に行くための準備をする。
この、準備の時点で体が動かなくなった。
立っていられないほどの痛みがある。仕事どころではない。
とりあえず、職場の上司に連絡をし、状況を説明して、近医にかかることを報告した。
この時も、まだ仕事に行けると思っていた(社畜なので)
時間が経つにつれて、痛みが強くなる。同時に、腹が動いていないことに気がつく。
腹が動くってどう言うことなのか、と思われるかもしれないが、逆に動かなくなると、腹の奥がじわじわと冷えてくる。底の方から重たくなる。そして絞られるような痛みが歩いても息をしても内側から響く。
この時点で嘔気があれば、すぐにイレウスだと受け入れただろうなと思うが、この時はまだなかった。
水分を入れていなかったことも関係すると思う。
(イレウスだった場合、絶飲食で消化器官を休めるので)
かかりつけ医とまでは呼べないが、最初の病気を見つけてくれた近医を受診。
朝からの状態を告げ、腹部の触診をされた時に「あー……」と苦い声を出された。限りなく黒に近いグレー。
そのままエコー診断になだれこみ、真っ黒に近い黒、みたいな映像を見せてもらう。
「ほら、ここ。もう腫れてるんだよー」
「紹介状用意するね」
ほぼほぼ、イレウス確定になった瞬間だった。
2回のオペでお世話になった二次病院の外来に駆け込んで、紹介状を見せての診察。
あいにく、主治医は出張とのことで、他のドクターが対応してくださる。諸々検査の後、「じゃあ、入院しましょうか」とにこやかに告げられた。
5年ぶり、3度目の入院である。
前回はコロナ前だった。あれから病院のルールが色々変わっていた。
面会の制限、患者の着替えの扱い、院内での細かいルール。
面会人数も時間も縮小されていたし、着替えはレンタル。入院中は常にマスク着用、とか。(マスクは別に気にならないが、寝ている時は苦しいね……)
一番の進化は、院内で患者用に有料とはいえWi-Fiが用意されていたこと。おかげで本当に助かった。とはいえ、動画視聴や、タブレットでの電子書籍閲覧などは制限されていたので、自前のポケットWi-Fiを活用したが、ちょっとした()SNS閲覧やゲームなどで通信費が嵩まなかったのはたいへんありがたかった。
結果的に。
今回は外科的処置はおこわなず、内科的処置(絶飲食、点滴)で腸を休ませて腸が動くのを待つ形となった。
腸が動いてくれるのを待つだけでは埒が開かないので、院内を歩き回り、ベッドの上で軽いストレッチをし、痛みを感じない程度にマッサージをしたりした。
その結果、3日目くらいでガスが出て腹が動くようになり、排泄も滞ることなく訪れてきた。お腹の活動に合わせて徐々に食事を再開させて、一週間ほどの入院で復帰に至れた。
今までの入院のなかで一番軽い症状で収まっていて本当にありがたい。
今回イレウスを引き起こした原因はよくわかっていない。ただ考えつくのが、GWで食い倒れツアー的なことを行なっていたので、お腹が疲れていた可能性は、ある。加えて、気温と気圧の乱降下に体がついていけていなかった。知らないうちに体がストレスと疲労を溜めていた可能性はあるだろう。
イレウスの痛みは本当に慣れない。2度目の経験だが、やはり2度となりたくない。これ以上腹を切るのも、腸が短くなるのもお断りだ。
食事も運動も積み重ねていって「健康維持」につながる。
改めてそんなことを考えさせられた。
ちなみに、今回の入院費。諭吉が9人ほどでした。でもこれから、パジャマレンタル代とWi-Fi代が別途要求がくるのだ……。
おっと……