元祖リモートワーク?2018年ニューヨーカーに向けた、ハワイで仕事をする提案 【PR研究所044】
新型コロナウイルスでどんどんリモートワークが浸透しています。
今では普通かもしれませんが、コロナ以前の2018年に「Work From Hawaii」(=ハワイから仕事しよう)というキャンペーンがありました。
もしかしたら旅行を兼ねたキャンペーンとしては元祖かも。コロンブスの卵のように、当初はなかなか革命的な働き方として映りました。
厳密にいうとワーケーションでしょうか。観光地やリゾート地にいながらリモートで仕事をこなす新しい働き方です。
2018年はコロナの影響もまだなく、観光地でリモートワークするという価値観はまったく一般的なものではありませんでした。
このキャンペーンを始めたのは、ハワイ観光団体とPR会社エデルマンです。彼らは、ニューヨーカーがハワイを訪れる頻度が少なくなっていることを課題として見つけました。
ニューヨーカーは仕事に熱心で、イケイケなイメージがありますよね。同社の調べによると、50%ものニューヨーカーが有休を取り切れていなかったそうです。
また彼らニューヨーカーの特徴として、仕事に熱心な一方でオフィスを好まない性質があることを見つけました。
さらに、アメリカでは多くの会社が働き方について寛容であるのに、観光地やリゾート地でリモートワークをする人はごく少数でした。
(おしゃれな滞在先が紹介されてる。エデルマンHPよりスクショ)
そこでWork From Hawaiiと題し、リラックスできるハワイから仕事をすることを提案したのでした。
公式に用意された滞在先は、リモートワークがしやすいようにさまざまな準備がなされています。
エデルマンの報告によると、この新提案を300以上のメディアが報道し、6万人以上ハワイへの旅行者を増やしたそうです。
PRの事例として特に注目すべきは1点あります。
それは、このWork From Hawaiiはいくつもの社会トレンドを組み合わせて考えられている点です。パッと見るだけでも
①ニューヨーカーの有休取得率
②ニューヨーカーの好む働く環境と現状
③ハワイ旅行におけるニューヨーカーの割合
④アメリカの働き方への自由度
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たくさんのトレンドからこの企画が導かれていることがわかります。よりよいキャンペーンを考える際には、複雑にからまっている社会トレンドをさまざまな角度から掘り下げる必要があると考えます。