マガジンのカバー画像

読書日記

120
運営しているクリエイター

2023年12月の記事一覧

あの人視点のエッセイも読みたくなった『師匠』

あの人視点のエッセイも読みたくなった『師匠』

志らくが談志との日々を描いたエッセイ。
となると、どうしても談春の『赤めだか』を思い出してしまいます。あれはめちゃくちゃ面白かった。大ベストセラーになったことで、それほど落語好きというわけではないという方にも多く手にとられたと思います。
『赤めだか』によって立川流の人々の見え方というのもかなり変わったんじゃないかと思うんです。が、改めて振り返ってびっくりしたのが、『赤めだか』出版時って師匠はまだご

もっとみる
『鬼の筆』にクリエイティブと経営の両立を見た

『鬼の筆』にクリエイティブと経営の両立を見た

橋本忍といえば、日本を代表する映画脚本家。黒澤明との日々を綴った手記『複眼の映像』も以前大きな話題となりました。
この『鬼の筆』はさらにそこから踏み込んだ評伝になっています。12年間という長い時を要して紡ぎあがった脚本家・橋本忍の人生。

全身脚本家という文字が帯に躍っていますが、私も橋本忍という人には破天荒でもの作りに心血注ぎまくって周囲のことはあまり見えないような印象を持っていました。そんな思

もっとみる
息を止めながら読んだ『歌われなかった海賊へ』

息を止めながら読んだ『歌われなかった海賊へ』

人がなぜ悪意に支配されてしまうのか、戦争はなぜなくならないのか…など巨悪の発生する理由を問う本が多くなってきたように思う。
たしかに、ウクライナ侵攻しかり、パレスチナで起きていることしかり、人がどうして殺し合わなければならないのか、その答え探しをせずにはいられない。
一方で、そういった巨悪に立ち向かってきた人がいることも事実だ。歴史に名を残した有名人もいれば、この本に出てくるような市井の人たちの抵

もっとみる