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映画レビュー集【洋画】

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アメリカ、ヨーロッパなどの映画作品についてかいたものを集めました。
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記事一覧

【映画レビュー】『真夜中のカーボーイ』:カッコ悪さがカッコいい、野垂れ死にの美学

 お恥ずかしながら、この映画のことを全く知らなかった。  ある方のオールタイムベスト作品…

MINAMI
4週間前
6

【映画レビュー】『ウォールフラワー』:愛でも恋でもない3人の友情の物語

 ある方から、「映画も原作も何回も見るほどに好きです!」という作品(ベストワン作品?)と…

MINAMI
2か月前
9

【映画レビュー】『パラダイスの夕暮れ』:無口な曲者たちが輝く大人の映画

 「カウリスマキの常連さんカティとマッティのお2人が最高なのと、起承転結が見事で、なにも…

MINAMI
3か月前
7

【映画レビュー】『マンチェスター・バイ・ザ・シー』:赦され、救われ、再生できるの…

 ものすごく静かで、揺れ動きが少なく、それでいて、ものすごく重くて根源的な苦しみをテーマ…

MINAMI
3か月前
4

【映画レビュー】『グリーンブック』:頑な心が少しずつ少しずつ解けていく

 観ようかなと何度も思いながら、後回しになっていた。  なんとなく、いい話すぎて、物足り…

MINAMI
3か月前
8

【映画レビュー】『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』:二人で街を歩くことは最…

 気の合う人と散歩をするのは、本当に素敵なこと。  それが、友人でも、恋人でも、家族でも…

MINAMI
7か月前
6

【映画レビュー】『ブルーバレンタイン』:「計算されつくした」映画が見せる「計算不能」な愛の苦しみ

「あんなに愛し合ったのに…」  どこかで聞いたようなセリフだが、この言葉が訴えかけることは、人間が永遠に解決できない問題であるような気がする。  この映画は、ある夫婦の今の日常を映し出すところから始まる。  そして、その男女が「最初に出会ってから今にいたるドラマ」と、「今から破局に向かっていくドラマ」が並行して映し出される。  見ている者は、男女が熱狂的な恋に落ちていく様子と、その二人が通じ合わなくなっていく様子を同時に見せられるのである。  ものすごく計算しつくされた、ある

【映画レビュー】『サイダーハウス・ルール』:傷を抱えた人たちに注がれ続ける温かい…

 1999年の公開時(なんと25年前…)に劇場で観て以来、久々に観直した。  前半の舞台は、産…

MINAMI
10か月前
3

【映画レビュー】『ストレンジャーザンパラダイス』:ドラマがなくても面白い

 とにかくドラマチックでなくて、何も起こらず、結末がない映画である。一見、虚無的に思える…

MINAMI
11か月前
6

【映画レビュー】『哀れなるものたち』:フェミニズムを超えて恋愛の根源的矛盾を突き…

 SNS上でいろんな人が絶賛しているけど、なかにはそうでもないという人もいたり、フェミニズ…

MINAMI
1年前
18

【映画レビュー】『フェイブルマンズ』:スピルバーグでも苦しいんだ

 あのスピルバーグが、映画を撮るようになったいきさつを描いた自伝的な作品だと聞いて、これ…

MINAMI
1年前

【映画レビュー】『オール・アバウト・マイ・マザー』:人間の「生」のぎりぎりに迫る…

 2000年の公開当時にも見たのだが、内容を忘れてしまっていた。見直してみて、ああ、こういう…

MINAMI
1年前
3

【映画レビュー】『ケス』:ケン・ローチが描き出す媚びない少年像

 ようやく観られた。  ケン・ローチ監督の作品が大好きで、見られるものはほぼ見たが、この…

MINAMI
1年前
2

【映画レビュー】『フォレスト・ガンプ 一期一会』:1ミリも揺らがなかった一途な思い

 体調を崩して休養することになった機会に、名作と言われているのに見ていなかった作品を見てみることにした。その一つが、この『フォレスト・ガンプ』である。 大事な人を一生涯思い続ける  フォレスト・ガンプは、軽い知的障害があるように描かれている。そのため、いろいろな人にいじめられたり、軽く見られたり、利用されたりもする。そういうできごとを多少おもしろおかしく描いている点もあるが、全体としてはフォレストを、愛すべき魅力的な人物として浮かび上がらせている。  彼の何よりも素敵なと