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大人女子のサイゼリヤ/第一回サイゼ文学賞
金曜夜10時。残業はそこそこにピラティスレッスンに立ち寄ると郊外の我が家の最寄駅に着くのはこの時間。
なじみのサイゼリヤに入ると、流石に家族連れは少なく若いカップルやグループでがやがやしていた。
一時期は連日行列だったからそれでも落ち着いた方だろうか。
ミラノ風ドリアとドリンクバーのカプチーノ、小エビのカクテルサラダ、というのが10代の頃からお決まりのオーダーだったが、40代になった今はおつまみメニューとワインがお気に入りだ。
塩気の程よいほうれん草のソテーはもはや家で作るよりも安い。
さらにグラスワインにいたっては飲んでいいエタノールなのか疑うほどに安い。
玉ねぎのズッパのくたくたな感じ、私にはきっと出せない。
エスカルゴは、そもそもどこに売ってるかわからない。
あーあ、こんなんなら家で自分で作って食べればよかった、なんてならないのである。
どうしたって満足度高すぎる。
家族、友達、恋人との思い出がたくさんのサイゼリヤ。
40歳になりひとりで佇んでいる。この展開は当時想像できただろうか。
なんとなく40歳おひとりさまなら、お金に余裕があって、麻布や青山あたりのおしゃれなイタリアンで高級ワインすすっていたかった気もする。逃げ恥のゆりちゃんのように、独身女性は物語の中で往々にしてバリキャラの金持ちである。
バリキャリでも母親でもない私のような普通の独身女性にはしばしばキャラクターは与えられてこなかったように思う。
これでいいのか、と思うのはだからなのだろうか。
でも、チープに幸せ感じられるサイゼリヤが好きなんだから仕方がない。
はたらけどはたらけど
我が暮らし楽に成らず
今日もサイゼ行く