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「金曜、16:00、屋上で。」

やっかいなウイルスが流行り始めて早1年。"集まる"ということが、ことごとく制限されている今。ただただ同じ空間にいるだけで、顔が見られるだけで、なんでこんなに元気になれるんだろうと、嬉しいなぁと思った午後4時05分。屋上にて。

「金曜、16:00、屋上で。」

そう内線が来たのは4日前。

その日は、1日中曇天予報で、延期も検討された。でも屋上に広がっていたのは、冬晴れの空だった。

なぜ屋上にいるのか。

それはね、安全に、且つ、素敵な写真を撮る為。換気は十分。雰囲気も十分。

うちの職場は若手が少ないので、"20代の会"なるものがある。

働く部署も、職種もばらばら。普段はそんな頻繁に会えない。だからいい。

飲み会も、花火大会も、たけのこ掘りも、ディズニーも。みんなで集まれる特別感が、いい。

その中の1人の先輩の寿退職が決まり、恒例になっている記念撮影。

寂しさとおめでとうの気持ちを抱えて、屋上に向かった。

結局その日、肝心の主役は仕事が押して合流できず、タイムオーバーで写真撮影は延期になった。

先輩を待つ間、愚痴を聞いてもらったり、”青春ぽい”写真を撮ったり。そんな、たわいもない時間を過ごした。

この人達と一緒に、こんなに全力で笑ったのいつぶりだったっけ?

時間にしたら30分もなかった。

だけど、たくさん心の動いた時間だった。

今までだったら何気なく過ごしていた時間も、大切にしたいな、嬉しいなと感じられる。厄介なウイルスのせいで。

これからもしなやかに生きていたいな。

暮れかけの空の綺麗な虹色のグラデーションは、大切な人に会える歓びと一緒に仕舞っておこうと思った。

そんな金曜日。


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