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ため息俳句16 おでん
独身一人住まいの頃は、朝飯は駅近くでモーニング、昼夜も職場近くの飯屋で済ませた。家を出る時母親が一通りの自炊道具を揃えてくれたが、使ったことがなかった。
ある時、同年配の同僚が自炊していると嬉しそうにいうので、それでは自分もやってみようかと、その男に一番最初に失敗なく作れる料理は何かと尋ねると、まずカレーライス、次におでんと、言下に答えた。
時は今のように寒い時期で、それではおでんにしようと意気込んで材料を買い込んで、次の休日の昼、おでんを作成した。
さて、出来あがってみると、たいしたボリュームになっていた。二度三度食べても、果たして食べつくせるか怪しいくらいの量になっていた。
そうして、なんとか三日は続けて食べたが、そのあと鍋底にはまだ具が残っているままに、放置した。数日後ようやく鍋をきれいにしようとふたを開けると、放置したままのこんにゃくやらた卵やらが鍋の底に沈んでいた。
うら悲しくなった、大急ぎで生ごみ袋に。それ以来、自炊への意欲は持てなかった。しばらく、おでんも敬遠した。
そして、今は勿論冬のご馳走。
おでん煮る自炊漢や四畳半
蛇足注・「漢」は、「をとこ」