この辺りも、初霜は五日前である。
うつろい菊とは、白菊が霜に遭うと、花弁の先端から蘇芳色に変色することをいう。
その色の変わり様から平安朝の頃には「変心」の象徴ととらえるようになっていったという。「変心」と云えばとりもなおさず男女の関係にもいえて、直ぐに思い出すのは「蜻蛉日記」のこの有名な一章である。
何となく、今夜は肩が張って重苦しいので、口語訳は省略してしまおう。
さて、この白菊は、畑の縁に植えてあるもので、何種類か色変わりの小菊があるのだが、自分としてもこの色変わりしたてのころの白菊が一番美しいと思うのだ。
さて、「蜻蛉日記」の作者の時代は遙か昔のことであるに。
千年経菊うつろへの女人達 空茶
今や「心変わり」は女性達の特権のように思える。