ため息俳句 山茶花
足腰が弱った老人のために、シルバーカーという歩行の補助する手押しのカートがある。
今朝も我が家の前の道をゆくシルバーカーの人の後ろ姿をみた。
のろのろと、そういう形容は失礼だろうが、やはりのろのろといってしまいたくなる。
山茶花やふと留まりぬシルバーカー
日向ぼこ「乳母車」かも掴まるは
自分はまだ歩行に不自由さを感じたことはないが、それでも歩く速度はまったく遅くなった。すこし足早に歩いているつもりでも、やすやすと追い抜かれる。そういうことで、この頃は、例えば散歩の際は意識的にゆっくりと歩くようにしている。もう世間の皆様と肩を並べてゆくことはできない哀れな老人ですと、吹聴するがごとき歩き方である。
とにかく、のろのろである。
世間様の邪魔にならないようにと、気も遣っている。
まったくもって、のろのろと散歩しながら、それでも「ちったあ世間の様子」を日々憂いているのであるし、・・・、いや、なんのお役にもたたないか。