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ため息俳句 秋蒔く種

 秋に蒔く種は、まずは大根、白菜、玉ねぎ、ホウレンソウ、小松菜、隠元、ニンジン、青梗菜、そうして、ジャガイモ。
 どれも、用意はできている。
 大根、白菜は、この辺りでは彼岸をまでにはと云われている。しかし、衰えることない連日の暑さが、老人の農作業にはまことにこたえるのであって、畝を立て、マルチを張るまでが、つらいのだ。ようやく、大根はできたが、白菜以下はこれから。
 それよりも気がかりなのは、種には発芽の適正温度があって、それを目安にするのだが、うち続く秋の猛暑はその温度を大きく上回っていて、いつまで待てばよいのやらと悩んでいるのだ。
 ジャガイモなどは、この時期には植えてしまっているというのが例年だが、それであってもやはり高温すぎるので、少なからず躊躇する人がいる。
 玉ねぎの苗づくりも昨年は不本意であったので、今年は改善しようと計画していたのだが、それも目論見の変更を迫られている。
 自分としては、発芽温度がやや高めな白菜を先にして、次に大根、じゃがいもと片づけたいと思っているが、今週末あたりから涼しくなるという予報に期待してるのだ。
 こんな風に天気のことが気になるのであるが、同じ天気への関心もサラリーマン時代とは大分異なっている。そのころは、まずは通勤への影響ばかりが気になっていた。ちょっとした遠距離通勤だったので、天気の変動がかなりの体力消耗につながったのだ。
 それが、今は猫の額ほどの家庭菜園であっても、作物への影響が気になるのである。今、徐々に雷鳴が近づいているだが、内心はちょっとしめしめと思っている。雨が畑にほしいのだ。
 だが、今は学生なら帰宅時間。我が家の前を部活終わりの中学生がにぎやかに下校中だ。降ってくる前に家に到着できればよいが。
 別に天気の変動は誰のせいでもないが、立場が変わると、こういうことになる。
 ともあれ、この愚ログでは毎日、暑いのなんのと愚痴ばかりだが、人に与えている問題もさることながら、食糧生産にかかわることにまでなってくると、深刻である。ことは、晴耕雨読気取りの爺ィの菜園にとどまらないのだ。事実、野菜は高騰している。米作にだってよくないと、妹の旦那が困っていた、彼は脱サラの農民である。
 自民、立憲の党首選挙の論点に、そうした温暖化と食料自給への対策は、どの程度取り上げられいるのだろうか。どっちにしても、口先だけか。
 ついでにいうと、種も値上がりしている。これは、誰かのせいであるが。

秋の蒔きの種はそろへり空たのみ 空茶