ため息俳句 兼六園時雨亭
金沢旅行の二日目、兼六園の時雨亭に立ち寄り、茶を飲んできた。
午後3時半に入場したのだが、40人ほどもいたが、日本人は我ら夫婦と他に4人ほど、それ以外は外国人観光客であった。大体が若い二人連れで爺婆は我らだけ。
ここで抹茶とお菓子が呈され、茶席の真似事を体験したのである。
さて、茶席に座るとそれなりの作法ということををついつい意識するのであるが、ここでは特にそうしたことを要求するところではないようだったので、すこし安堵したのだった。
茶の飲み方の作法なんて自分はまったく知らない、そういう意味では居並ぶ外国人の皆さんと変わりないのだ、もしかするとその中には自分より心得のある人がいたかも知れない。
隣に座る妻は、何やら神妙そうに茶碗を掌の上でごにょごにょやっていたが、こちらは出された菓子を食い、呈された茶をさっさと飲んでしまった。俺は作法なんてお構いなしだという体を装ったわけでないが、そうなってしまった。
そうであれ、久々の抹茶の味はおいしかった。どんな飲み方であれ、おいしいのである。
外国人観光客の皆さんは、礼儀正しく茶を召し上がっていた。楽しそうでもあった。こういう体験が今のこの国の現実とどの程度に通ずるところがあるのかは疑問だと云うことは別にして、この国のお茶を飲む人々に親しみをもってくれればよいと思った。
茶は苦くはたまた甘し石蕗の花 空茶