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ため息俳句 薺粥

 朝、昨日妻が買ってきた「七草粥セット」を開けてみると、自分の知る七草が揃っていない。
 芹・薺・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろというのが、聞き知っているものだが、その中で自分が確認できたのは、はこべらとすずな、それに、すずしろの三つ。あと、人参が彩りであろうか、添えられていた。後、なずならしい気もする葉っぱが混じっていた。
 例え断片であろうと七種ななくさの若菜の中では、薺が肝要だ、この粥は「薺粥」とも呼ぶくらいなのだから、このセットに姿形もないというのは・・・。
 とはいえ、今の季節、薺を摘んでくることは存外難しいかも知れない。
 本来は旧暦一月七日の行事であるから、新暦にすると今年なら二月四日になる。その頃になれば、若菜を摘んで粥にするというのもわかりやすい。そういうことで、「薺」抜きの七種粥ではねェなんて、野暮は云わないことにした。
 今日のお昼は「七種粥」、別名、「薺粥」、断固これに決まった。
 
 結局、この七種粥は昼に出すことにして、朝飯はいつもの通りのトーストになった。
 畑に行って、薺もごぎょうもほとけのざも探し出して、摘んでこようかとも思ったが、横着してしまった。
 我が家の七種粥は、餅をいれて炊くのだ。お粥だけでは、お腹が頼りない。我等夫婦、結構な大食らいなので。
 そういうことで、今年も無事七日の粥を頂き、めでたしめでたしとなった。

お代りに鍋底見ゆる薺粥なずなかゆ  空茶