ため息俳句 大根・白菜種蒔き
この辺りでは、冬野菜の筆頭株の大根、白菜の種蒔きは、彼岸前までには終えるものだと、教えらえた。
だが、今年は真夏のような暑い日が彼岸過ぎにも断続的にあった。そんなことで、種まきの時期が彼岸明け後にずれ込んだのだ。
というのは、表向きの言い訳で、蒔こう蒔こうと思いつつ、暑さにひしがれて圃場の準備が遅々としてはかどなかったのである。
そう行くわけで彼岸明けにもまだできず、10月直前に蒔くことができた。大根と白菜を一日がかりで。
白菜の種は、胡麻粒より小さく、大根の種は米粒の半分ほどだ。それほどの小さなものの中に生命が保存されていて、それを土に蒔き、水をやり、日光であためられると、数日で芽を出し、緑の双葉を開くのである。
初めては大根の発芽を見た時は、さすがに感動したものであった。それがいっぱしの大根に成長して、口にできる作物に成長していったのだ、驚異であった。
自分は、マルチと呼ばれる黒のビニールシートで畝を覆い、そこに直径12センチほどの穴をあけて、そこのひと穴につき4、5粒の種を蒔く。ほとんど全部が発芽するので、その中で一本だけ残し、他は抜き取ってしまう、これが間引きだ。健気に発芽したものの、五六センチに成長した頃、抜き取られてしまうのだ。憐れを感じるといえば大袈裟であるが、どこか物悲しさがある。野菜作りに、間引きというのはつきものなのであるが。
さて、種をまいて5日目、双葉が開いている。今日はよく晴れて、明るい日差しと秋の風。良い気分であった。
大根蒔く白菜も蒔く痛風の人
秋蝶の留まりてをるよ覆土せば
外つ国ゆ妻沼大根の種来たる
(「ゆ」動作作用の起点を表す上代の格助詞、・・・から)