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ため息俳句5 着ぶくれ
高度経済成長期の中頃、市が造成した住宅団地内の公園を通りぬけて、散歩は行く。
ブランコの脇に小さな砂場があって、ベンチもおかれている。
時折歩き始めたばかりらしき幼子を遊ばせているのを見かけるが、大抵は誰
もいない。
まして、今朝は寒中の9時を少し回ったところであるし。
さて、いつもいつもというわけでないが、ベンチに顔なじみの猫が来ている。
この団地内のどなたかの飼い猫であろう、落ち着きがある。
一瞬、探るような眼つきで僕を見るが、すぐに眠った振りをする。
着ぶくれの我を待てるか疎む眼か 空茶