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「古今十七文字徘徊」帖

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古今のふれあった俳句作品についての所感を記録しておくノートのまとめです。作品にふれあうというのは、きわめて個人的なことで、古典として名高い名句とか、コンクールの優秀作品とか、そう…
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2024年4月の記事一覧

#4 考える人は考え昭和の日  谷山花猿

#4 考える人は考え昭和の日  谷山花猿

 さて、「不適切にもほどがある」というテレビドラマは、大いに話題になりました。自分も楽しみにしてみていました。
 題名の「不適切」というのは、昭和の時代の価値観や生活習慣は、令和の現在から見ると、不適切としかいえないことが、沢山ありましたねえという意味の不適切でありました。
 そうではありますか、他方で昭和レトロなどといわれて、様々なことがとりあげられ、若者の間にも昭和風のデザインや町並みのファン

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#3 梟よつらくせ直せ春の雨 一茶

#3 梟よつらくせ直せ春の雨 一茶

 「七番日記」から、梟は春の季題。

鳩、いけんしていはく

梟よつらくせ直せ春の雨  一茶

《鳩が諫めて言った
《梟よ一癖有りそうな顔つきを直しなさい。春の雨がほのぼの降っているだろう。

 「つらくせ」とは、「面癖」、つい心の内が表情に出てしまう癖のことです。
 これは、人ごとではなく、自分もそうで女房や子供から、しばしば注意を受けています。
 仏頂面。胡散顔。浮かぬ顔。託(かこ)ち顔。賢し

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#2 晩春の肉は舌よりはじまるか 三橋敏夫

#2 晩春の肉は舌よりはじまるか 三橋敏夫

 三橋敏夫「真神」(昭和48)所収の句。そうはいっても、この句集を読んいるわけではなくて、孫引きであります、すみません。
 先に謝っておきたいと思います。ここにあげたのは、小生の助平こころのせいかもしれません。お恥ずかしいです。

 昔、新興俳句運動という伝統重視の俳句にして若干ラジカルそうなムーブメントあったらしいとは、俳句作り初心者の自分も知っています。作者はその集団で最年少であった方だそうで

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#1 ゆく春や蓬が中の人の骨 星布尼 

#1 ゆく春や蓬が中の人の骨 星布尼 

 ちょとした出来こころで、老人の閑の埋め草にと、noteの軒下をお借りして、二度目の春も暮れようとしています。
 いつまでも「俳句もどき」を言い訳にサボるのはたいがいにしようかと、後期高齢者とよばれる直前にふと思い立ち、それでは先人、同時代の皆様の作品を至らぬながらも理解の及ぶ範囲ながら、一句づつ読ませてもらおうかということにしました。そのあたりで思うこと感じたことを記録してしてゆきます。つまり、

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