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【檀一雄全集を読む】第一巻「少年」

 「孤独者」の続編といった感じで、やはり寛城子でのエピソードが書かれている。

 居候をしていた緑川貢の家を出た檀はロシア人長屋に住むことになるのだが、外食ばかりもしていられないと、ロシア人ツホジャーニーの家に越してきた友人内田辰次と自炊をすることにする。しかしツホジャーニーは何が気に食わないのか二人が自炊をしていると横に立って大声で何事か喚き立てる。それに閉口していると、近所に住む日本語の上手いロシア人少年ウオロージャーが間に立って交渉をしてくれる。そればかりかツホジャーニーを刺激しないように井戸水を汲める家を教えてくれたり、ミルクやパンが買えるように立ち回ってくれる。檀と内田はウオロージャーの好意に応えるために一緒に食事をしないかと誘い、味噌汁を振る舞うことにする。

 少年ウオロージャーの素直な好意と少年らしい図々しさが愛らしい好短篇だ。


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