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【檀一雄全集を読む】第一巻「裾野少女」
これは明確に「樹々に匐う魚」の続編だ。
主人公水沢あきはやはり教師で、「樹々に匐う魚」では何となく底の知れぬ男だった同僚の唐島とはお互いに想い合う仲になっている。月光の中で葡萄畑を抜けて水路に足を浸して歩いたりしながら、唐島はあきに教師を辞めることを告げ、一緒になろうと仄めかしたりそれを引っ込めたりする。その後あきは教師を辞めていった唐島からの便りを待つのだが、いつまで経っても来ないので、唐島が残していった札入れに入っていた金で唐島の故郷を訪れることにする。
あきの揺れ動く心情が頼りないようで、しかし端々に芯の強さも感じる。これも檀一雄の理想の女性像なのだろうか。