すこしずつすこしずつ、感情をひらいていく。
先日の連休で、CTIの3日間のプロセス・コースが修了しました。3日間の学びを言語化するべく、今日は久しぶりに筆をとっています。
プロセス・コーチングとは
まず、プロセス・コーチングを端的に説明するならば、「今この瞬間の感情を経験しつくし、エネルギー変換を観察していく」コーチングだと思いました。
コーチングは人生の目的の探求や、行動の自走化など「前に進む」ことに焦点を当てる時間であるという印象を持った方が多いです。(もちろん、間違っていません。)
一方、プロセス・コーチングでは、「今この瞬間」に意識を集中し、瞬間瞬間にクライアントの内面で何が起きているのかを深く体験することを誘います。それによって、クライアント自身は、自分の内的変化に気づき、「今、ここ」に存在している自分をゆっくり味わうことができます。
コーチは何を傾聴するのか
このプロセス・コーチングでは、「何を傾聴するか」が非常に重要です。クライアントの発している言葉だけではなく、身体感覚だけでもない。こういった言い方は私も馴染みがないのですが、「クライアントのエネルギー」を感じ取る力が重要になってきます。(クライアントのエネルギーってなんやねん!なにそれこわい、スピリチュアル!?と執筆している私でさえ思いますが、これ以外にいい表現が見つからないのでそう呼ぶことにします。)
感情は、英語でEmotionと綴ります。
Enegy+Motion
つまり感情とは、「動くエネルギー」なのです。
本記事のタイトル、「すこしずつすこしずつ、感情をひらいていく」にも題していますが、周囲の人々を見回して思うことが、「感情をひらいている人」と「感情をとじている人」に分類されるなあ、ということです。以下は私の個人的主観ですが、感情をひらいている人と感情をとじている人には以下のような特性があります。
感情をひらいている人…「自分に正直」「感情的」「素直」「オープンマインド」「驚きやすい」「表現が豊か」
感情をとじている人…「冷静沈着」「理性的」「合理的」「損得」「感情は面倒なもの」
上記、どちらがよい/わるいということはありません。ただ、プロセス・コーチングの時間においては、感情にフォーカスし、クライアントの内側から湧き出るエネルギーをともに味わいます。そうして感情の海に浸り続けていると、どこかのタイミングで自然に感情の波は変化し、新たなエネルギーが湧き出てくるといった崇高な経験をすることになるのです。
感情はコントロールできない
誰もが、失敗や挫折などを経験したことがあると思います。そんな時、二通りの選択肢があります。
1. 悲しいや絶望などの感情に浸る。満足するまでただ浸る。(ここで注目すべきは、感情に囚われるのではないということです)」
2. 感情に浸っていても時間の無駄なので、感情に焦点を当てず、できる行動をするしかないので、改善・行動をする。
ビジネスの世界においては、感情は時に「邪魔者扱い」をされ、コントロール(または蓋をする)ことがビジネススキルとして求められることがあります。そうしなければ、物事が円滑に進まないからです。
けれど私たちは、一度起きてしまった出来事を記憶から消し去ることはできません。最新の脳科学では、出来事(エピソード)は感情とセットにされ、脳に保管されることが判明しています。とくに強い情動感情(悲しみや喜びなど)と共にある記憶の方がより強固に保存されるというのです。それに加えて、人はネガティブな情報にフォーカスしやすい(ネガティビティバイアス)というのだから、特にネガティブな感情に蓋をすることは、その人の今後の人生(心身の健康)を脅かすことにもつながりかねないな、と原体験から思っています。
感情は、文字通り「動くエネルギー」ですから、すべてが本来私たちのリソースであり、それと上手に付き合うことが本当の意味での感情コントロールだと思っています。
例えば私が経験した会食恐怖症は、幼少期のパニック障害と完食指導が記憶として脳裏に焼き付き、大人になってから発症しました。当時は何事もなくても、昇華しきれなかった感情(エネルギー)は脳がしっかりと記憶しており、どこかのタイミングで表出してしまうのです。
だからこそ、個人的におすすめしたいのは、自分の内面から湧き上がる感情を見逃さずにキャッチし、ありのまま見つめ、味わい昇華させること。
感情コントロールとは、感情を抑圧したり、蓋をして忘れたふりをすることではないし、心身の健康のためにも軽視してはいけないと強く思うのです。
感情(エネルギー)は抑圧せずとも必ず変化していく
CTIのコースリーダーが教えてくれました。
「出来事はすべて過去や未来を語り、身体だけが現在にある。」
思考する自己はタイムマシンのように、過去や未来を行ったり来たりします。「明日のプレゼンどうしよう、不安だな」「過去にあんなことさえ起きなければ…」など、みなさんも思い当たる節があるかと思います。
一方で、身体だけは必ず現在にあるのです。そしてその身体が、緊張や、不安や、悲しみを経験しているのなら。そこにフォーカスをしてありのまま観察し、味わい、昇華していく。その足掛けとしては瞑想などもありますね。
「今この瞬間にあるもの」にただ意識を向けることで、そのエネルギーは抑え込まれず、変化していくのです。こころとからだはつながっています。こころの領域だからって無視をしていれば、それはやがて、からだに影響をもたらすのです。
この世で変化しないものはありません。私たちの感情も、身体も、空気も、すべてが変化し揺蕩っています。
すこしずつすこしずつ、感情をひらいていく。
するとその先には、変化するエネルギ-があり、そこからまた、前を向けたり行動できたりするのです。
鬱や自殺といったこころの負担が増えている現在だからこそ、自分自身の内側からのサインを見逃さずに大切に扱ってほしいと願いを込めて。
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プロセス・コーチングを体験してみたい方はお気軽にご連絡ください。
「こころとからだのつながり」については、フェルデンクライスメソッドをもとにしたボディワークをしているみほさんもおすすめです。