コーチングを学ぶのにおすすめの本。(厳選10冊)
私は、よく本を読みます。保育園の頃から絵本が大好きで、小学生になってもよく図書室に籠って、どんなに重くても最大数の冊数を借りてくる子どもでした。自分で言うのもなんですが、めちゃくちゃ読むのが早いです。熟読よりも多読派。
我が家には定期的にメルカリ便やアマゾンから本が届きます。そんな「まずは本から学ぼう」の私がおすすめするコーチングの本をまとめるべくnoteを書くことにしました。「1兆ドルコーチ」や「コーチングの基本」、「ザ・コーチ」なども良書ですが、そのあたりは調べればすぐ見つかる本なので、なるべくイレギュラーな本をご紹介したいと思います。
まずはこちら。
コーチングのすべて――その成り立ち・流派・理論から実践の指針まで
コーチングには、多くの流派があります。CTI、NLP、コーチエィ、チームフローなど、あるコーチングスクールに所属してしまうと、コーチングそのものの成り立ち歴史、背景などは教えてもらえません。まずは俯瞰して全体像を知りたい、という方にお勧めです。
発達コーチング、インテグラル・コーチング、ポジティブ心理学コーチング、コーアクティブ・コーチング、オントロジカル・コーチングなど、あらゆる側面から「コーチングとは何か」へのアンサーを示してくれています。翻訳者に深謝ですね。
以下はこの書籍から引用です。
ヨーロッパ企業の88%、イギリスの企業の95%の企業がコーチングを利用している。
欧米ではコーチもメンターも珍しいことではなく、当たり前の文化が根付いています。日本ではまだまだ「マイコーチを持つこと」が一般的ではないので、より多くの人にコーチングの魅力を知っていただきたいなと思います。
パワーオブダンス―統合セラピーの地図
最近知人のコーチの方に勧められて読了しました。主題はセラピーですが、セッションの事例紹介では質の良い問いの事例があげられており、「直感の力」や「存在の力」を解説しています。風船のワークも面白かったですね。コーチとして、多様な側面から人の心と向き合っていきたい方にはお勧めです。
デンマークの親は子どもを褒めない 世界一幸せな国が実践する「折れない」子どもの育て方(新書企画室単行本)
子育てが主題の本ですが、大人にも当てはまること間違いなしの内容です。「PARENT」をキーワードに、デンマーク流心の育て方を説いています。「P=Play:遊ぶ」「A=Authenticity:ありのままに観る」「R=Re framing:視点を変える 」「E=Empathy:共感」「N=no ultimatums:叩かない「T=Togetherness and Hygge:他者と心地よくつながる」
ちょっと無理やり感もありますが(笑)、このキーワードはコーチングにおいても非常に重要な観点だと思います。
古い眼鏡を再び外してみよう。おわかりのように、物の見方と日常の出来事に対する解釈の仕方は、その人の感じ方全般に影響力を与える。多くの人は、物の見方を「無意識に選んでいる」ことに気づいていない。自分にとっての真実、物の見方が学習によってもたらされた視点(多くの場合は親や文化から受け継ぐ)だとは考えない。
事実と解釈を切り分けたり、解釈の選択肢を増やすにはコーチングはうってつけの手法です。コーチ自身も、クライアントを色眼鏡で見ることのないように気を付けたいものです。
幸せのメカニズム 実践・幸福学入門 (講談社現代新書)
慶應大学前野先生の書籍です。幸せのメカニズムや心身に与える影響、実践の方法を調査データを用いながらわかりやすく解説されています。この本によると、「自由時間は短いほうが幸せ」だと言います。データが示す幸せと私たちが思う幸せは時に異なることを教えてくれます。個人的には文中で紹介されていたアメリカの美術の先生が生徒に与えた「許可証」のエピソードが印象的でした。
カール・ロジャーズ入門―自分が“自分”になるということ
1997年に初版発行の書籍ですが名著ですね。カウンセリング領域をコーチングに取り入れたい方へお勧めです。とあるコーチングスクールは、カール・ロジャーズの思想にとりわけ影響を受けているという一説もあります。
カウンセラーはクライアントの知覚の世界に入り込み、それを正確に映し出す「鏡」となります。クライアントにとっての「もう一人の自分」になりきって、一人の人間としてのカウンセラーは排除され、「死に体」となるのです。
だからこそ、対話は意味を持ちます。投影の効果を存分に利用しているカウンセリング手法ですね。
つまり、物理的には1人でも、心の中では内在化されたさまざまな他者の声に支配され、捕らわれ、がんじがらめになっていて、身動きがとれなくなっているのです。
自分が何を感じ何を話してもていねいに聴いて受け止めてもらえる、またそこにいるだけで何の気兼ねもなく"自分自身”でいられる、そんな「心理的空間」を十分に味わったとしましょう。すると何が起こるでしょうか。不思議なことなのですがその人は、そのような「空間」にいるうちに、それまで自分の心を支配しがんじがらめにしていた「複数の他者」が、いつの間にかすーっと脱け落ちていくことに気づくでしょう。
私はこの一節に感銘を受けています。人は、他者と向き合うことで自己の輪郭が露わになる。「ああ、私はこういうことを感じていたんだ」と本当の自己とつながることのできる時間が対話の時間であり、そんな創造とやさしさ溢れる時間(空間)をコーチングセッションで創っていきたいなあ、と思ったのもこの本の影響かもしれません。
ダイアローグ 対話する組織
近年オープン・ダイアログやダイアログ・セラピーなど日本でも「ダイアログ」の可能性に注目しています。立教大学中原先生の本はわかりやすく、かつ現実としっかりと結び付けて解説くださるので重宝しています。
つまり、「対話」とは「客観的事実」と「意味づけ」の関係に焦点を当てる社会構成主義的な視点も持ちつつ、相互理解を深めていくコミュニケーションの形態と考えられる。
本書は組織の事例を交えて対話の重要性を説いていますが、コーチングも本質は同じです。この書籍の中でも「対話=創造的なコミュニケーション行為」と定義されており、この「創造的」がコーチングでもカギになります。どちらが優位でもなく、重心を保ちつつ、コーチとクライアントの関係性で創っていく。この視点がなければ対話の力も半減されてしまいます。社会構成主義についてはこちらの本もお勧めです。
アファメーション (日本語)
「頭のゴミ」を捨てれば、脳は一瞬で目覚める!
NLPコーチングといえばこの書籍ですね。ルー・タイス著のアファメーションと苫米地博士のシリーズ。個人的にはこの書籍が好きです。苫米地さんの書籍はどれもわかりやすく読みやすいんですよね。アファメーションは、人によってイメージできる/できないがはっきりしますが、アファメーション出来れば、臨場感を高め、ゴールまで自走できるブースターのような役割にもできるので、ビジネスコーチングとは特に相性が良いのかもしれません。
スタンフォード大学の超人気講座 実力を100%発揮する方法―――ポジティブ心理学が教えるこころのトレーニング
こちらCTIの元CEOシャザド・チャミン氏が執筆しました。無意識に内在化されたサボタージュとの向き合い方、扱い方、そして客体化の方法を詳しく述べています。サボタージュの取り扱い説明書のような書籍です。
相手の心の中にいる妨害者のせいでその人に怒りを覚えるとすれば、それはあなた自身が自分の妨害者に乗っ取られている証拠である。
誰かに向ける怒りのまなざしは、実は自分に向いているのかもしれません。
最高の脳で働く方法 Your Brain at Work (日本語)
脳科学と心理学は密接に結びついています。人の心を扱う対人支援者は、生物的本能としての脳の仕組みや機能をわかった上でセッションをすると腑に落ちたり理解できることもあるでしょう。
体内からの信号を察知することを専門用語で内的受容感覚という。これは自分の内界を認知することである。当時、内界で起きていることを察知する能力を測る既存の尺度はなく、ブラウンは自らそれを開発した。これが、マインドフルネス・アテンション・アウェアネス・スケール(MAAS)と呼ばれるものである。
内的受容感覚を高めることで、自分の変化や違和感に気が付きやすくなります。
他人を理解するために脳部位の多くは、自分を理解するために使う脳部位と重なっている。
これが「意識の重なり」の所以ですね。人は他者との対話を通じて、自己を発見することもしばしばあります。
リーダーが自分のストレスレベルの管理にことさら気を付けなければならない理由は、このミラーニューロンにある。リーダーの情動は部下に多くの影響を及ぼすのだ。
リーダーは笑顔のほうがよい、などと言えば、「そんなの感情論だ。感情はマネジメントの足かせとなる」と考える方もいらっしゃいますが、逆です。脳科学的にも、表情や感情はメンバーに大きな影響を及ぼし、それが生産性に大きく影響することは科学的にも明らかです。
脳を理解することはコミュニケーションの本質かもしれません。モチベーションや感情がなぜ大切なのかは、脳の仕組みを知れば納得です。欧米では脳科学的な知識をマネジャーは当たり前に学習しており、だからこそgoogleなどは「心理的安全性」を謳うのでしょう。
いかがでしたでしょうか。独断と偏見(偏愛?)でご紹介した書籍ですが、コーチングを学ぶ方のみならず、自分の心を整えたい方、自分と向き合うことを実践されている方へもしかしたらお役に立てる一冊があるかもしれません。
気になった書籍があれば、ぜひ手にとってみてください。