80歳でカメラを手にしたおばあさんから、「人は何かを始めるのに遅すぎることなんてなんにもない」ことを学んだ木曜日。
「今日が人生で一番若い日」
事実として頭ではそれがわかっているけれど、いざ何か新しいことを始めようとするときにはどうしても躊躇ってしまうことがあります。
・もっと小さい頃から始めていたら良かった。
・なんで若いときにもっとやっておかなかったんだろう。
・今からじゃ遅いよなあ。
そんな後悔の念が、自分のスタートを妨げてしまうのは僕の悪い癖です。
(まだ26歳の僕が、、、です)
またそれとは逆に、「もっと時間に余裕ができてから始めよう。今は忙しいからやってみたいけど後回し」
そう自分に言い訳をつけて、まだ始めてないこと、忘れてしまったことも多々あります。
だけどやっぱり「人は何かを始めるのに遅すぎることはなんにもないんだ」ということと、「残された時間がある。と思っているのは失うことにまだ気づいてない人だけ」
そんな当たり前だけど、とっても大事なことをあるおばあさんの姿をみて気付かされましたので娘に伝えたいなと。
世界文化遺産の地区 長崎市外海町にある海の見える1件のカフェ
僕と妻には、休日になるとつい足を運びたくなる、お気に入りのカフェが1件あります。
そのカフェは僕たちが住んでいる長崎市内中心部から、約30分ほど車を走らせて到着する”外海地区”の高台にポツンとある小さな個人経営のお店です。
”外海地区”といえば、平成30年に世界文化遺産に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産のうち、「外海の出津集落」と「外海の大野集落」の2つを備える、いわば世界遺産の地区として有名です。
もちろん世界文化遺産に選ばれた歴史と威厳ある建物や街並みだけでももちろん素敵な地区ですが
わざわざ僕たちが片道半時間かけても通う”外海”の魅力は、雄大な角力灘とそこに浮かぶ島々が美しい”海”の美しさであると思います。
特に夕日の眺めは長崎屈指で、いつ訪れても心を魅了される美しさがあります。
外海の海を撮り続ける割烹着姿のおばあさんカメラマン
建国記念日で休日だった先日も、僕と妻はランチがてらその外海にあるカフェに出かけました。
お店に入ったのは正午ごろ。いつも座る窓際の眺望のいい席で、相変わらず綺麗な海と晴れ渡った空を眺めながら
僕はピリっとスパイシーな辛さが癖になってしまったキーマカレーのセットを
妻は本日のランチメニュー、ごろっとしたじゃがいもと大きなエビのスープセットを食べた後
「なんでカフェだとカレーを食べた後の珈琲がまたこんなにも美味しいのだろうね?」という僕のライフワークにもなってしまった疑問を妻と解き明かしていたところ
窓の向こう、大体50m離れたあたりにあるお店の駐車場に、白色の割烹着にサンダルをつっかけて、その姿にはあまり似つかわしくない大きなCanonの1眼レフカメラを片手に立っている1人の小さなおばあさんが見えました。
「とっても楽しそうでワクワクした。」だから始めた80歳からのカメラライフ。
白い割烹着姿の小さなおばあさんと、Canonの大きな1眼レフカメラにはあまりにギャップがあったけど
ほんとにその辺を散歩しに来たような格好で、美しい外海の海と、たまに飛んでくるメジロの様な鳥たちを何枚も何枚も夢中で撮り続けているその姿は、心から楽しいんだろうなというのが遠目に見ていて伝わりました。
「あのおばあさんすごく楽しそうだね」
「なんだかカッコいいなあ」
「それにしても本格的なカメラだね」
そんな話をしながら僕と妻があまりにそのおばあさんを見ていたからか、それに気づいたカフェの店主のおじさんが、
・あのおばあさんは80歳になったのと同時に前から興味のあったカメラを始めたこと
・それ以来ほぼ毎日外海の景観や風景を撮り続けていること
・最近15万円の望遠レンズを新しく購入したこと
などなど、色んなコトを教えてくれました。
どうやらお店の近所に住んでいて、常連さんでもある様です。
そのおばあさんは、「今からあんな重そうで難しそうな機械を、自分が扱えるか不安だったけど、それよりもカメラを実際手にした時ワクワクしたし、何より楽しそうだと思った。」のだそう。
特に「作品を残したいから」 とか 「外海の風景を後世に伝えたい」 といっただいそれたものじゃなくて、ただ自分がやってみたかったという思いだけで始めたそうです。
そしてその挑戦が上手くいったかどうかは、目の前の楽しそうにシャッターを押すおばあさんの姿をみれば答えは明白でした。
僕と妻は、半時間かかる帰りの車内で
生きている内に必ずやってみたいこと・訪れたい場所・食べたい物や会いたい人などを発表しあって
あのおばあさんの様に、いくつになっても挑戦する人生を送りたいねと誓いあって帰路につきました。
娘よ、「人はいくつになっても新しい自分を発見できる。だから常に挑戦続けなさい。父も今日、見知らぬおばあさんから学んだよ」
余談。
ちなみに僕たちはその日直接そのおばあさんとお話はできませんでした。
一通り写真を撮り終わると、どうやらお店に来るそぶりをしたのですが、立ち止まって振り返るとそのまま歩いて行ってしまいました。
「今日はお家に帰ったのかな」 と思い僕たちもいっときしてお店を後にして、駐車場で車に乗り込んだところ
さっきのおばあさんがお店への階段を登っていました。
手には、撮影時には着用してなかったマスク。
きっと持ってき忘れたマスクをわざわざ近所のお家まで取りに帰ったのだろうと思うと、なんだかクスッと笑えました。
娘がおばあさんになった姿をこの目で見るのは厳しいけれど
マナーもルールもしっかり守れる、あんな素敵なおばあさんに娘にはなってほしいなあ。
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