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大変だったけど、やっておいてよかった!と思う、あの頃の漫画作品

渦中のときは大変だったけど、後に振り返ると「あの仕事やっておいて、本当によかったー」と思うことがあります。

そんなことを最近つくづく感じているのが、雑誌『小学六年生』編集部時代に立ち上げた実録漫画『夢への扉』です。


当時大人気の「エンタの神様」に登場する芸人さんがブレイクするまでの軌跡を漫画化することから始まり、約2年間、総勢20名以上を毎月、漫画にしていました。

陣内智則さん(芸人)
水田わさびさん(声優。ドラえもん役)
雷句誠さん(漫画家。『金色のガッシュ!!』)
井原慶子さん(レーサー)
北村晴男さん(弁護士)
岩合光昭さん(動物写真家)
亀田興毅さん(プロボクサー)
高木康政さん(パティシエ)
上原浩治さん(プロ野球選手)
サンボマスター(ミュージシャン)
ジョン・ラセターさん(ピクサーのアニメ監督)
宮川雅美さん(国境なき医師団)
市川染五郎さん(歌舞伎役者。現・松本幸四郎さん)
鈴木おさむさん(放送作家)
小林郁子さん(パイロット)
春風亭昇太さん(落語家)
かづきれいこさん(フェイシャルセラピスト)
岡野雅行さん(経営者)
などなど、多岐にわたる、そうそうたる面々です。


月刊誌で、毎月、異なるジャンルの人を取り上げて漫画にする、
というのは、編集者として、かなりハードなことでした。
(もちろん、一番大変だったのは、作者の鈴木小波さんでしたが)

職業ジャンルの偏りがないよう、誰を取り上げるか考え、面白い漫画になりそうか調べ、
漫画化を提案し、断られ、
また考えて調べて、提案して、
OKをもらえたら、入念に下調べをして、取材に挑み、
プロットを作り上げて、取材相手に確認してもらい、
修正希望を踏まえて練り上げ、
漫画家さんから届いたネームを先方に確認してもらい、
大きな直しになりそうなときは話し合いを重ね…

なんてことを毎月毎月、繰り返していたのでした。


漫画家さんに併走しながら作り上げていくフィクション漫画も、
過去の偉人を漫画にする人物伝も、もちろん大変な仕事ですが、
今まさに現在進行形で活躍している人の人生を、15ページ程度の漫画に凝縮していく、というのは、かなり骨の折れる仕事でした。

漫画は、ページを増やすことより、減らすことのほうが圧倒的に大変な上、
純粋な漫画制作以外にも、クリアしないとならない要素、気を使わねばならない点が大量にあるからです。

(繰り返しになりますが、当然ながら一番大変だったのは漫画家の鈴木小波さんです)


でも、約2年にも渡り、続けておけて本当によかった。

特にこの先、
漫画制作における編集者の役割は、「漫画家さんに併走する」だけにはとどまらないものになると思うからです。

多方面の方々の要望を聞きながら、
実益と、関係者の利害関係を調整しつつ、
制作チームを統括して、最大限に面白い漫画を作り上げていく、
そうした能力が必要になっていくはずです。

(メディアミックス的な漫画で必要とされる能力ともまた別のものになってくると思います)


そんなことを考えながら取り組む ”今の仕事”も、いずれまた
後に振り返ったとき、「あの仕事やっておいて、本当によかったー」と思うのかもしれません。

そんな貴重な財産になっていくと信じて、いい仕事をしていきたいと思います。

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