【シロクマ文芸部】甘くて苦い痛みは春風に乗って・20字小説
春と風は俺と彼女との出会いを運んできた。
春一番は、彼女の帽子を俺の所に飛ばした。
「すみません」彼女は俺の所へやって来た。
帽子を手渡し俺は聞いた。「名前を教えて」
「私は美佳子。あなたは?」彼女も聞いた。
「俺は圭介。そこでコーヒーでも飲もうよ」
美佳子と俺は初対面でもなぜか気が合った。
俺は、彼女に惹かれていく。怖いくらいに。
幾つかの春が過ぎ永遠に続くと思っていた。
それなのに。なぜ別れてしまったのだろう。
俺が大人になれなかった。みんな俺が悪い。
最後の日の彼女が頭を離れない。潤んだ瞳。
さよなら。愛してた。俺の事は早く忘れて。
春と風は俺と彼女をずっと離れ離れにした。
春一番は今年も吹く。風が俺を叩きつける。
その度に甘くて苦い痛みが胸を締め付ける。
春と風は数年後に意地悪な演出をしてきた。
学校で俺と美佳子は再会した。残酷な再会。
美佳子の子供の担任の俺。幸せそうな彼女。
春と風を嫌いになりたい。刻み込まれた愛。
今度こそさよなら。愛してる。多分ずっと。
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シロクマ文芸部に参加します💛
今週のお題は「春と風」です。
なんとなく、この二人の事が頭に浮かびました。
美佳子と昔の恋人の圭介先生です。
美佳子と圭介先生の出会いと別れを圭介先生目線の20字小説で書いてみました。
今日も最後まで読んで下さってありがとうございます♪
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