人生はパッチワークみたいだ~140字で紡ぐ物語
みゆです。
今までに書いた140字小説をまとめてみました。
では、どうぞ💛
+++++++++++++++
💗 人間模様・猫模様
🌈 裏切りの赤い傘
「赤い傘を持ってるわ」
女との待ち合わせの目印だ。アプリで知り合い、毎日メッセージのやり取りをした。
俺に落とせない女はいない。実際に会って完落ちさせて、貰う物は貰ってやる。
待ち合わせ場所に女はいた。白いワンピースに赤い傘を持って。
「やっぱりあんただったのね」
女は黒い物を取り出した。
🌈 猫団子
ドタドタドタ
お姉ちゃんと追いかけっこ。追いかけて、追いついて、じゃれあって。
そんなあたし達をお母さんは少し離れた所から見ている。
お母さんのおっぱいを飲んだら眠くなっちゃった。
みちみちみち
お姉ちゃんとお母さんも箱の中で一緒に眠ってる。
猫団子ってあったかいな。
ずっとこのままがいいな。
🌈 いつか立ち上がる日まで
走らないんだと自分の胸に言い聞かせるのは、走れない事への言い訳なのか。
人生という名のマラソンは平坦な道ばかりではない。様々な障害が僕たちを待ち構えている。
先に進む友の背中を眩しく見つめながら、僕は蹲まって動けない。いつか立ち上がって走り出すその日まで、僕は力を蓄えて生きていく。
🌈 ランウエイの先に
私がデザインした洋服のショーの幕が上がる。モデルが纏っているのは、私がデザインした洋服。煌びやかなランウエイを進む彼女達は美しい。私はこの日が来るのをどんなに夢見てきた事か。
ショーが終わる時、私もランウエイを歩いた。煌びやかなランウエイの先にはこれから脚光を浴びる私の姿が見えた。
💗 親子模様
🌈 赤い傘と一緒に
赤い傘と赤いランドセル、そして赤い長靴。
赤が好きなあの子の初めての雨の登校。
集合場所まで送っていくと、上級生があの子の手を繋いでくれた。
赤い傘をさしたあの子の背中を心配しながら見送った。
今、そんなあの子は赤い車で出勤する。
大人になったあの子の背中にエールを送る。
今日も仕事頑張れ!
🌈 幾つになっても
「子どもの日って何歳までが対象なんだろうね」
「幾つになっても子どもは子どもだよ。あんたも子どもの日の対象だよ」
母は私に微笑みかけて言う。
そんなものなのか。私は今年還暦だというのに。私の孫も3人いるのに。
母にとって私はいつまでも子どもなのだろう。
さて、お茶を淹れて柏餅を食べようか。
🌈 生まれてきてくれてありがとう
控室のあなたは純白のドレスが良く似合って、とても綺麗。
「パパ、ママ。今までありがとうございました」
お礼を言うのは私の方よ。あなたがパパとママの娘として生まれてくれただけで幸せな事よ。あなたと過ごした日々の全てが愛おしい思い出。
彼と幸せにね。パパとママはいつまでも、あなたの味方よ。
🌈 蒲公英を花束にして
「大人になったらママと結婚する!」
君はそう言うと、道端の蒲公英の花束をくれたね。お母さんは今でもその蒲公英を押し花にして持っているよ。
君はソファで初めての彼女とのLINEに夢中ね。彼女の事、大事にしてあげるのよ。女の子には優しくしてあげてね。
君からの愛と蒲公英はお母さんの一生の宝物よ。
💗 春の恋模様
🌈 舞う花びらに寄せて(彼目線)
満開の桜の花びらが風に乗って舞い上がる。あの日もここで舞い上がる桜を見ていた。その時隣で手を繋いだあなたはもういない。
あなたを想い焦がれている僕はこの場所から先に進めずにいるよ。この強く吹く風はあなたなのだろうか。いつまでも立ち止まっている情けない僕を叱りに来てくれたのだろうか。
🌈 舞う花びらに寄せて(彼女目線)
満開の桜は風に吹かれて花びらを散らせる。あの日、舞っている桜を一緒に見たあなたは今何をしているのだろう。
舞い上がる桜は記憶の扉を開けてしまう。大好きなのに一緒になれない人。あなたとの想い出も桜色に染まって、ふわふわと舞い上がる。今も大好きなあなたの所へこの風に乗り逢いにゆきたい。
🌈 雨上がりの桜
雨上がりの桜は、薄桃色の花びらに雨粒を湛ている。それはまるで今にも零れ落ちそうな涙に似ていると思った。そんな桜を見ていると、脳裏に彼の事が浮かんだ。
「また会おう」
別れ際に彼は言ったけれど、それは叶う事の無い約束だと分かっていた。涙が零れそうになった時、また3月の雨が降ってきた。
🌈 これからの二人
あなたと私が過ごした学び舎。卒業証書を手に二人で写真を撮った。
「これからも、ずっと一緒だよ」
あなたは言うけれど、私には分かる。「これから」はもう無いって事を。新しい生活、新しく出会う人々。刺激的な毎日の中できっと「これまで」は埋もれてしまう。
だけど「それまで」はあなたを愛すわ。
🌈 春の日差しの中で
君は今頃何をしているのだろう。
春の日差しの中で、新しい道を歩み始めているのだろうか。俺はまだあの時から時が止まっているよ。
俺はまだ春の日差しが眩しくて顔を上げられないでいるよ。だけど、いつか自分の足で歩いていくから。
君もどうか春の日差しのように柔らかく笑っていて欲しい。お元気で。
💗 冬の恋模様
🌈 終着駅から
歴史ロマン漂うこの街での逢瀬を決めたのは偶然なのか、必然なのか。目の前に広がる冬の海は荒々しくうねり、空は澄んで太陽が波間を照らす。
二人は寄り添い、もう二度と離れる事の無い様に手を強く握りしめる。
終着駅は二人の出発点。振り向くと長く伸びる線路の様に二人の未来もずっと続いていく。
💗 恋模様
🌈 重なり合う赤い傘
赤い傘が雨粒を受け止めている。私を受け止めてくれる人はまだ来ない。大きな雨粒が私の足先を濡らしていく。
青い傘が雨粒を弾かせながら駆けてくる。赤い傘と青い傘は重なり合って、夜の街へ消えていく。ほんの束の間だけ私を受け止めてくれる人。愛と罪悪感を感じて、また私はひとり濡れて街を歩く。
🌈 猫の恋
「私、前世は猫だったと思うの」
君は上目遣いで僕を見上げる。
くるくると動く瞳も、悪戯っぽく笑う所も、ちっとも素直じゃない所も。ああ、本当に君は猫みたいだね。そんな君が可愛くて好きだ。
君が無防備に甘えてくるのは、僕にくっついて丸くなって眠る時だね。僕は、そんな君を優しく撫で続けるよ。
🌈 僕は下僕
「前世は猫だったと思うの」
そう言っていた君は1年後に僕の奥さんになった。君は相変わらず猫みたいだね。気まぐれで可愛い君。
僕は君の下僕になる。君の為に毎日頑張って仕事するし、君に楽しく過ごして欲しいと思うんだ。
だから眠る時には、素直に僕に甘えておくれよ。僕はずっと君を大事にするよ。
🌈 愛は勝つ
愛した人が私から離れていくのが怖かった。ひとりにしないで、私だけを愛して。いつもそう思っていた。
私の愛は自慰行為に似ているかもしれない。
君の愛が欲しくて、今宵も一人悶え苦しむ。
こんな愛し方しかできないなら愛する事を辞めようか。挫けそうだけど、それでも必ず最後に愛は勝つ。信じてる。
🌈 満月に願う
満月の夜、あなたを想い空を見上げる。大きな満月は辺りを優しく照らしている。私を包み込んでくれる様な、そんな満月に思わず願い事を口にする。
「あなたは自分らしく生きている。私は愛を直接受け取る」
きっと願いは届くし叶うと信じている。再び満月を見上げると、大丈夫と言われた気がして涙が溢れた。
🌈 君のことを食べる夜
食べる夜ふわふわ甘い君のこと
僕のことも食べておくれよ
彼からLINEが入ってきた。
週末のデートのお誘いみたい。
けれど、どうして短歌なの?
彼って意外と風流なのね。
私も彼を食べちゃいたいな。
ふふふ。だって、彼の心も体も大好きなんだもん。
闇鍋の如くふたりは混じり合い
貪りつくす空になるまで
🌈 翻訳アプリの恋
講義室の一番後ろに座る僕。
「ここ誰かとっとっと?」
君は肩で息をして僕に尋ねる。とっとっと?と、鳥?君はあたふたする僕を横目に隣に座った。
ある時には顔を赤くして僕に尋ねる。
「私の事すいとっと?」
水筒?鳥?君の言う事が僕には分からない。翻訳アプリがいるようだ。
だけど僕は君が好きだよ。
🌈 巻き戻った時間
突然私の下の名前を呼ぶ人がいる。誰だろうと思い振り返ると、そこには背の高いやけにイケメンがいる。
「ショウタだよ。覚えてない?6年の時に転校した」
名前を聞いて思い出した。彼は、私の初恋の人だ。その彼とまさか入社式で再会するなんて。
私の中の時計が一気に6年生まで巻き戻ったのを感じた。
🌈 桜島が見える場所
春の海に桜島が見える。遥か昔から桜島はそこにある。
私はかつてこの地で身分違いの恋をした。引き裂かれ、愛してもいない人の元へ嫁いだ。意外にも夫は私を愛してくれた。けれど、来世はあの人と添い遂げようと心に誓った。
今、私の所へ手を振り来るのは、あの時のあの人。時を越えて、もう離れない。
🌈 猫と君と僕
僕は今まさにモテ期が来ているらしい。
さっきから、つぶらな瞳で艶やかな毛並みのお嬢さん達が僕の膝の上を求めて熱いバトルを繰り広げている。君はニヤニヤしながら「私の事もかわいがってよ」とプレッシャーを掛けてくる。
お嬢さん達にはちゅーる、君には指輪を進呈したら僕は許されるのだろうか。
+++++++++++++++
140字小説を書くようになったのは1年と少し前の事です。
最初は、仲良しの方が書き始めたのを見て、見よう見まねでやってみたんです。初めて書いた140字小説で(終着駅から)企画に参加してみました。
それからは企画に参加したり、セルフ二次創作だったりで140字小説を書きました。
みゆ企画ではタロット占いのおまけでお題を頂いて書いたりもしました。
140字という決まった文字数なので、書いたり削ったりの作業です。
その中で、読んで状況が頭に浮かぶ作品作りを目指しているつもりです。
短歌などとはまた違う、制限のある創作は奥が深いなぁと思いつつ、また思いつくままに書いていくんだと思います。
今日も最後まで読んで下さってありがとうございます♪