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【旬杯・短歌部門】審査員みゆ賞を発表します💙
みゆです。
この度、旬杯・短歌部門の審査員を務めさせて頂くこととなりました。
私は沙々杯のプレ企画で初めて短歌に触れてから、まだ2年も経っていません。ですから、審査員といえども、まだ初心者で文法も何も分からないのです。ですが、こういう役目を頂いたからには中途半端な事はできません。
詠み人知らずの一覧をじーっと3回ほど見つめてみました。その時の私の胸に刺さった作品を選ばせて頂きました。どれも素晴らしい作品で、本当に悩みましたし、違う日に審査をしたらまた違う結果になるのだろうなぁと思う事しきりでした。
それでは、審査員みゆ賞を発表します⭐️
では、どうぞ💛
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🌈 第1位〜第6位
👑 第1位 碧乃そらさん
黄昏に百合が匂い立つ
純真なる少女は甘美な罠を巡らす
百合の花は濃厚な香りがします。
このお歌を見た時、SHIROのホワイトリリーの香りを思い浮かべました。私はこの香りが好きなのです。甘やかで女性らしいいい香りがします。
夏の黄昏時はどことなく危うい感じがします。そこに漂う百合の濃厚な香り。中森明菜さんの少女Aでも「黄昏時は少女を大人に変える」という歌詞が出てきます。やはり、黄昏時ってそういう事なのでしょう。
純真な少女は、清いだけではありません。知ってか知らずか、異性を惑わせる事もできるのです。甘やかで、どことなく小悪魔チックな部分もあって。そんなバランスの危うさが甘く美しい罠となって、異性を虜にさせるのです。
そうなると、もう蜘蛛の糸に掛かった蝶のようにもがいても足掻いても、自分の意思ではどうする事もできないのです。
なんて、美しくて妖しいお歌なのでしょう。
古き時代の小説の世界のようです。
🏆 第2位 aeu<アユウ>|雨唄アユウさん
沈黙に溢れそうなアイスティー
妥当な言葉も見つからぬまま
このお歌、午後4時くらいの晴れた日の喫茶店の窓辺の席の様子が浮かんできました。
ところが、何やら不穏な空気感が漂ってきます。
もしかして、別れ話をしている2人なのでしょうか。
あの人に告げられた言葉に、発する言葉を探しているうちに長い沈黙が続きます。
グラスのアイスティーは汗をかき、雫がコースターを濡らします。
氷が溶けてしまって、もうグラスから溢れそう。
だけど、それでも、言葉は探せず時が流れるまま。
お互いがお互いの言葉を待っている、そんなもどかしさをすごく感じます。
早く楽にして・・・そんな思いも感じました。
この後、この2人はどうなってしまうのだろうと考えてしまいました。
🏆 第3位 みらっちさん
耳に沁む蝉ほどにすらもの知らぬ
幾つもの夏越えてきたけど
蝉は長い長い時を地中で過ごします。そして、地上に出てきて成虫になったとしても、その命は短いです。蝉は地中で何を考えて何を学んで生きているのでしょう。
そんな蝉が大きな声で鳴いています。まるで自分の存在を全身で示しているように。
そんな儚い命の蝉に対して、私はいくつもの夏を過ごしてきたのに。
だけど、何も身に付けていないような気がして。何者にもなっていなくて。
年齢を重ねていっているだけなんじゃないだろうか。いい歳をして、一体何をやっているのだろう。そんな私は、儚い命で生を終える蝉よりもものを知らないのではないだろうか。
なんていう自省の念を感じました。
夏は太陽の光が強い分、影も濃くなっています。光は表の自分、影は内なる自分、そのコントラストが強い分、内省を促してしまうものなのでしょう。
🎖️ 第4位 十六夜さん
封じたる想いは深くあの夏の
闇に溶けたる花火の残光
十六夜さんのこちらのお歌は、しゅんしゅんぽんでも使わせて頂きました。
今回の審査で、一覧を見つめていた時もやっぱり私の胸に刺さりました。
胸の奥に閉じ込めた想いは、それで無しになった訳ではありません。閉じ込めて、消えてしまえばどんなに楽な事でしょう。その想いは、閉じ込めた時の温度のままずっとずっと胸の中で保存されているんです。
闇に上がる大輪の花火。それは美しく、まるであの時の2人のようです。けれども、その花火は萎んでいきます。そして微かに残る残光に、今はそばにいない胸の中のあの人を想うのでしょう。
すごくすごく、綺麗な映像も浮かぶし、なんともいえないやるせない気持ちが共感の一首だと思いました。
🎖️ 第5位 ヒスイさん
恋としか名づけたくない重量を
蒼夜のコンビニ片手で放つ
ヒスイさんのこちらのお歌。なんて言ったらいいのでしょう。
感じる事はたくさんあるのに、私の語彙力では伝わってくる事を文章にするのが難しいのです。
胸に大きく居座っている感情。この感情は、ずっしりと重く、きゅんとしたり、悲しくなったり、少し持て余す所もあったり。それが恋というものなのでしょうね。
夜のコンビニは、そこだけちょっと明るくて何となくホッとする、日常と非日常の狭間の空間です。そこでその感情を、恋をエイヤって片手で投げるのです。これは、どういう事なんだろう。
手放しちゃうのかな。だけれど、その投げた恋はまたブーメランのようにズドンって戻ってきちゃいそうです。だって、それが恋というものだから。知らんけど。
🎖️ 第6位 花風さん
寝苦しき夜に目覚めて聞こゆるは
蛙(かはづ)鳴く音と君の寝息と
こちらのお歌は、素直にいいなと思いました。
このお歌の舞台は、田んぼが広がる地方都市なんでしょうか。
窓を開けて、網戸にして扇風機を掛けつつ眠る、なんとなくそんなイメージが湧きました。
夏の寝苦しい夜、暑くて目が覚めてしまいます。
そんな時、聞こえてくるのは、田んぼの方の蛙の鳴き声。それと、パートナーの寝息。どちらも、いつもの耳に馴染んだ音。ありふれた、日常の音。
そんな日常が愛おしく思えていいなと思いました。何でもない日常が過ごせる事が幸せな事なんですよね。
ただ、段々月日が経ってきて、寝息がいびきに変わった日には「鼻つまんだろか!?、オイ」なんて思ったりもするのです。ソレハワタシダケカシラ?
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🌈 第7位~第12位
⭐️第7位〜第12位は順位は付けずに、投稿順でのご紹介となります
💍 西野圭果さん
アクリル越はにかむ君のソーダ水
弾ける泡に溶ける青空
こちらのお歌を見た時、「ユーミンみたい💛」と思いました。
すると、圭果さんの記事にドルフィンの記載がありました!やっぱり、ユーミンの世界観を詠んだお歌だったのですね。
アクリル板を挟んで、好きな彼と向い合せで座っています。窓際のその席はお日様の日差しもキラキラ眩しくて。ふたりの笑顔もキラキラ眩しくて。
アクリル板は邪魔だけど、恋するふたりにはそんなの関係無いみたい。
ソーダ水からしゅわしゅわの泡がはじけて、そこには青い空が溶け込んで、爽やかで可愛らしい恋を応援しているみたいです。
ソーダ水のグラスには、歌みたいに貨物船が映り込むのでしょうか。
基本、私は切ない系のお歌に惹かれがちなのですが、このお歌はただただ可愛くてきゅん♡とします。
💍 鮎太さん
急行の走ることなきローカル線
ゆっくりでいいゆっくりがいい
私達は日頃、何かに追われるようにせかせかと日常を過ごしています。それは、だんだん自分が消耗していって自分が自分じゃなくなっていくみたい。
だから、人は自分を取り戻すために旅に出るのかもしれません。
その旅は、ゆっくりいこうよ、そんな感じを受けました。
日頃乗らない路線で、のんびりいこうよ。
ここは、特急どころか急行も走らないけれど。鈍行のローカル線でのんびり行こうよ。
一駅一駅止まるたびに、固くなった心もほどけていくみたいです。
急がなくていいんだよ。
ゆっくり進めばいいのだから。
ううん。ゆっくり進むのがいいんだよね。
という勝手に解釈をしてみました。
💍 みーくっくさん
0歳の点滴をする病室で
遠くに打ち上げ花火を聞く
これは、なんか胸がキュッとなるお歌だなぁと思いました。
ほの暗い病室で、あかちゃんの腕に刺さる点滴の針。ぽたんぽたんとゆっくり落ちる点滴のお薬。そんな時、ドォンという音に窓を見れば大きな花火が上がっているような映像が浮かびます。
あかちゃんの病気で心配とバタバタで花火大会という事をすっかり忘れていたのでしょうか。それとも、どこか遠くの大きな病院に来る事になって花火が上がる事をその時知ったのでしょうか。
我が子が病気になるという事は、親としてもとても辛い事です。それが0歳児ならなおさらの事です。その様子を想像するだけで、涙が出そうになります。あかちゃんが元気になって、一緒に花火が見られたらいいなと思いました。
💍 ミモザさん
カナカナの透明な声に目覚めれば
朝か夕かも分からぬ異界
夏は不思議な世界が似合うような気がします。
このお歌からは、そんな不思議な世界の感じを受けました。
カーテンを引いた薄暗い部屋で、眠りから目覚めると、外ではヒグラシがカナカナと透明な鳴き声を響かせます。ぼんやりした頭で、時間も朝か夕かさえも分からないまま戸惑う感じがすごくします。
夢現で、もしかしたら踏み入ってはいけない世界に入ってしまったのかも、なんて。
夏の微睡は気持ち良くて、現実か夢か分からなくなる危ういものなのかもなぁと思いました。もしかすると、夏の微睡は異界への入口になるのかもしれませんね。
それに、普通ならうるさいと思うだけのヒグラシの鳴き声を透明な声と表現されているのが詩的だなぁと思いました!
💍 立山 剣さん
鎌倉のぼんぼり祭り古き世の
舞姫のごと君匂いたつ
このお歌は、まず美しいなぁと思いました。和風の艶やかさと色気を感じます。
古都鎌倉でのぼんぼり祭り。そこへ浴衣の君がにっこり微笑めば、まさに古き世の舞姫です。気高く美しく、近寄りがたささえ感じる浴衣の君が自分だけに見せる笑顔にもうノックアウトされそうですね。
ここはひとつ、自分も古き世の若殿を気取って、舞姫をエスコートしなければなりませんね。
古都鎌倉の街並みの美しさ
浴衣の君の艶やかな美しさ
ぼんぼり祭りの美しさ
浴衣の君へのドキドキの恋心
これらが合わさり、美しい夏の恋の歌だと感じました!
💍 丸家れいさん
悠々と青に湧き立つ入道雲
眺める僕は淡い唯の花
こちらのお歌は言葉が美しいなと思いました。
真っ青な夏空にもくもくの入道雲。悠々という言葉で、あくせくしない、自分らしさみたいなものを感じます。
その雲を眺める僕は淡い唯の花と例えておられます。
唯の花は造語なのですね。
唯一無二、唯ひとつだけ。それは、他の誰でもなく自分だけ。
その唯ひとつのものが淡い色というのが、なんかいいなと思いました。原色ギラギラの唯ひとつも力強くていいんだけど、この淡い色が一見弱そうでいて芯の強さを感じさせるのかなと思います。
自分は自分らしく。だって自分は唯一無二なのだから。
れいさんが記事に書いておられた、そんなメッセージが強く伝わってきました。
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以上の皆様が審査員みゆ賞を受賞されました👑
受賞の12名の皆様、おめでとうございます💛
本当ならば賞状など用意したい所なのですが、ワタクシ、デザインのセンスが怪しいのです💦
それで、自分なりに丁寧に感想を書かせて頂きました。講評なんておこがましいので、感想です。あくまでも。
それでどうかお許しを~🙇
私の所にかっちーさんから審査員の依頼があった時は本当に驚きました。
しかも、軽い軽い感じで依頼されるのです。それで、つい軽く「いいっすよ~!」と引き受けてしまったのです。
でも、落ちついて考えてみたら、こんな初心者の私でいいん!?とかなり怖気づいてしまったのも事実です。だって、みんなの俳句大会といえば、たくさんのすごい作品が集まる名物企画だからです。考える程に怖いったらありゃしません。
けれど、私の枠はきゅん枠という事でしたので、それなら勝手に賞を選ぶように自分の好きなお歌を選ぼうと開き直りました。
それに、とうけつ前の最後の大会ですし、お世話になっているみん俳さんに少しでも恩返しみたいな事ができるならそれでいいなと思いました。
沙々良まど夏さん、riraさん、林白果さんと審査員をご一緒できた事もとても嬉しく、良い経験になりました。
審査員賞、自分なりに一生懸命取り組みました。
かなり長文ですが、楽しんで頂けましたら幸いです(⌒∇⌒)
🍦 勝手に賞のお知らせ
みなさんも勝手に賞をお出ししてみませんか?
贈って貰って、どちらも嬉しくhappy💗になれる勝手に賞です。
詳細は上の記事をご覧下さいね⭐
私も勝手に賞、お出ししようと思っていますよ~😊💕
今日も最後まで読んで下さってありがとうございます♪
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