第四話 〜人生の転機〜
【無謀な独立】
結婚生活をしながら仕事を続け、
やがて第一子を出産しました。
産後は私の実家に移り、
私達3人と母との同居生活が始まりました。
少し育児が落ちついた頃、私は長男を母に預け、
美容師の仕事に戻ることにしました。
パートで、ぼちぼち近くの美容室に行っていた
ある日のこと、
1本の電話が鳴りました。
美容室のオーナー宛にかかってきたその電話の内容は、
『◯◯市内に居抜きの美容室がある』
というものでした。
「オーナーに伝えておきます」
という私の言葉を遮り、その電話の主は、
「いや、あんたでよか。あんたが見に行かんね」
と言うのです!
(パートの私に???
まあ、見に行くだけ見に行ってみよう。)
そう思った私は、夫とふたりで
その美容室を見に行きました。
街の中心部の交差点の角
1階はハンバーガーの店
2階はゲーム
3階が今回の美容室
17坪17万、店舗譲渡金額150万
経営ど素人の私達には、
その金額が妥当かどうかもわかりませんでした。
ただ、唯一、安心材料は、
ここにお客をもつスタッフが残るということ。
「良いかもね」
夫と顔を見合わせ、数日間のうちに
契約書にサインをしたのでした。
しかし、
私はこの時、お腹の中に第二子がいたのです。
(大丈夫か?わたし!)
3階までの一直線の長い階段。
エレベーターはありません。
初めての店舗経営。
少し不安を覚えた私は
先日、家に遊びに来ていた、
チョー明るいおばさんにどう思うか尋ねました。
すると、
「あらぁ〜!そりゃ、良かとたい!!
めでたいことが2つも重なって、そりゃめでたい!
よかよか!大丈夫!大丈夫!」
と、笑いながら「ばぁ〜ん」と
私の背中を叩いてきたのです💦
やはり、ノーテンキなくらいチョー明るい😅
つい、ノセられて契約書にサインした私。
もう、後へは引けない。
どうする?わたし!
やるしかない。
ここから、私の経営者としての
第一歩が始まっていったのです。
全く資金のない私達は、
全て銀行借入することにしました。
オープン準備に取り掛かりましたが、
何からやればよいのやら…。
あれよあれよという間に、月日は流れ、
ついにオープンの日を迎えることになりました。
看板取付工事が、なんと、オープン当日の早朝
ギリギリになったのは、本当に焦りました。
スタッフは私を含め4人体制。
私の体調を見ながらの営業になるので、
それぐらいの人員は確保する必要がありました。
また、私には顧客なんてゼロに等しく、売上のほとんどを新規で集めなければなりませんでした。
いろんなことが、現実としてのしかかってくる…。
自分の美容室を持ちたいと、
甘い夢を見ているうちは楽しいものですが、
いざ、現実になると、
厳しい計算と段取りが必要となってきます。
全くその辺の知識がゼロだった私。
これから、
とんでもなく、
波乱な経営人生が待っているとは…。
その時は予想だにできなかった波乱について
次の第五話でお話していきたいと思います。
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プロローグ~成功と失敗~
第一話~強い使命感~
第二話~1つ目の壁~
第三話~運命の仕事、ヒト~
第五話~2つ目の壁~