花の異名を知っていますか
先日のお茶のお稽古で、花の異名が話題となりました。
異名とは、本来の名称以外の呼び名。(花言葉とは違います)
以前何かの記事で書きましたが、お稽古では、季節や道具組みに合わせて茶杓の銘を考えるのも稽古のうちとされます。
その場合、本来の名称では面白くない(=趣きがない)ということで、異名が使われることが多々あります。
例えばこの時期なら、梅雨の花 紫陽花の異名、四葩【よひら】(ガクが四片あることから)や七変化(さまざまな色合いに変化することから)。
7月の異名である文月や七夕月。
七夕の異名、星祭り、星合【ほしあい】(牽牛・織女の二つの星が出あうことから)。
紫陽花、七月、七夕と言うよりも、何となく風情がある気がしませんか。
話の流れで、それぞれ好きな花は何か、という話になりました。
ちなみに、私はあまり花に詳しくないし、これが好き!という花もないのですが…強いて言えばスズランでしょうか。
ということで、スズランの異名について調べてみました。
スズランの異名
学名
まず花には学名というものがあります。生物学的な名称。植物図鑑などで一番に書いてある横文字のあれですね。
スズランの場合、Convallaria majalis var. manshuricaだそうですが読めません😅
鈴蘭
漢名のスズラン(鈴蘭)は、垂れ下がる花の形が鈴のように見えること、葉の形が蘭に似ていることに由来するようです。
では、スズラン以外はと言うと…
君影草【きみかげそう】
比較的知られている和名です。
由来を調べてみると「葉の陰でひっそりと咲いている姿が、男性の一步後ろに控える古き良き日本女性のイメージと重なる」という説が有力。
漢字だけ見て、平安時代の和歌にありそうな「花が咲く姿に君の面影を見る」みたいなことを想像していたら、意外と前時代的な命名でモヤっとしました。
谷間の姫百合
英語名「Lily of the valley」からきているようです。
そもそもスズランはラン(蘭)と付きますが、ユリ科の植物。
天国の階段、妖精の階段
可愛らしい花が階段状に咲くことから。
(小さく可憐な花なので、妖精の階段のほうがしっくりくるかな、と個人的には思いますが)
聖母の涙
ヨーロッパでの呼び名。
イエス・キリストが十字架にはりつけにされた時、母である聖母マリアが涙を流し、こぼれ落ちた涙がスズランの花になったという言い伝えに由来します。
調べてみると、意外とたくさんの異名がありました。
見た目からとったもの、花が咲く様子を何かにたとえたもの、逸話・言い伝えによるものと様々ですが、美しい花を愛でる人々の思いが名前に表れているようで面白いです。
皆さんも好きな花の異名を調べてみませんか。
ちなみに、見た目に可愛らしいスズランですが、花、茎、根すべてに毒があるそうです。
取り扱いにはご注意下さい。