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農業を救うためには、農業に直接金を出すのではなく、農業以外の産業を近郊に発展させるほうがよい、という話。

宮崎県はよく、農業県だと言われます。確かに、他の県と比べると、農産物の産出量も多く、その比率も大きいもの事実です。

しかし、これは裏を返せば、時代に合わせて他の産業をちゃんと育成せず、人口減少を食い止めてこなかった結果、こうなっただけという言い方もできるでしょう。

宮崎が日本国内の他の都道府県とくらべて、決定的に劣っている点は、東京、大阪、名古屋、福岡などいずれの大消費地からも物理的に遠く、農産物の輸送コストがかかることです。

宮崎の強みとして、「温暖な気候」や「豊かな自然」を生かした「儲かる農業」などということが言われることですが、それらは産業としての価値としては、弱みと比べて極めて脆弱な強みでしかないわけです。それらが、本当に強力な強みであるならば、この何十年でもっとなんとかなっているはずです。

農業はもう何年も前から、専業農家よりも兼業農家が多いですし、兼業農家の中でも、農業以外の収入が多い第2種兼業農家のほうが多い状況です。(最近は専業農家が高齢化により微増しているようですが。)

図録▽農家数・専兼別主副業別農家数の長期推移 (sakura.ne.jp)

専業農家と言っても、農業従事者の平均年齢が67歳とかですから、ほとんどの人は年金で多少はそれ以外収入を確保した上でやってるわけですよ。

宮崎の問題は、農業が儲からない場合に、それ以外の収入を確保するような手段がほぼ全くないと言っていいほど、ないことです。

また、需要面から行っても、あるかどうかもわからない海外に市場を求めるより、できるだけ地産地消を推進することが安定した需要を確保できるはずですが、近年の宮崎県の産業政策の酷さによって、最も胃袋が大きくて需要が見込まれる20代、30代の男性というのがごっそりいなくなるという問題が発生してしまっています。

宮崎の人口ピラミッド

「宮崎に移住してもらう」というとき、他県出身者にとって「宮崎」というのはほぼ絶境に近いほどハードルの高い場所ですし、更に「農業」となると更にハードルが上がってしまいます。

個人的には、農業地域から通勤可能な50Km圏内にデータセンターのようなものを作るなどして、農業との兼業を許可するような政策が進めば良いのではと考えてはいますが、宮崎はデーターセンターの誘致に前向きな地方公共団体のリストに全く入っていないというよくわからない状況になっています。

データセンターの誘致に前向きな地方公共団体との意見交換を踏まえた今後のデータセンター拠点立地について (METI/経済産業省)

既存の団体に引きずられて、新たな産業を誘致する努力をしないようでは、既存の産業すらだめになっていく、という典型ののような状態だと感じています。


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