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宮崎市が子牛売却課税で農家32世帯に合計1千万円以上の課税漏れ。軽く調べたら制度が悪い気がした件。
5月24日付で、ちょっと意味が分かりづらい課税漏れのニュースが県内民放で伝えられていました。
自分が農業関係の課税制度に全く見識もないので、ニュースを良く読んでも、なんでこんなことが起こったのかがよく分かりませんせでした。というか、UMKとMRTの記者も市役所の発表の意味がちゃんとわからないうちにその日のうちに記事にしてるだろ、これ。
なので、かるく調べてみることにしました。(予めエクスキューズを入れておくと、以下の内容や私自身の解釈が正しいわけではないと思いますし、明らかに間違ったことを書いていたら、むしろどなたか指摘していただければと思います。)
ぐぐってみると、群馬県畜産協会のページに肉用牛売却所得の免税制度の説明が簡単に書いてあります。
肉用牛売却所得の免税制度とは
正式には 「肉用牛売却所得の課税特例措置」 と言い、 肉用牛生産農家が経営体質を強化し、国産牛肉の安定的な供給を図っていく観点から措置されている制度です。家畜取引法に規定する家畜市場や農林水産大臣から指定または認定を受けた食肉卸売市場などで肉用牛を売却したとき、売却証明書が発行され、その証明書を税務申告時に提出することにより、1頭あたり100万円(交雑種80万円、乳用種50万円) 未満であれば、年間の売却頭数が1,500頭まで、所得税や住民税が免除されるという仕組みとなっています。
目的が「国産牛肉の安定的な供給」を図るために、零細農家の課税を免除するという制度で、おそらくは鶏肉や豚肉その他の畜産品などにはない、「牛肉だけ」に適用される制度です。
MRTのニュースのコメントにも以下のようなものもありました。
肉用牛特例はもう廃止で良いと思う。 これがあるから歪になるし、他の農畜産業との不公平さが目立つ。 まあ大支援組織だからそんなことやる勇気ないだろうけどね。
あぁ、これは自民党のお得意の零細農家への優遇制度ですわ、多分。
増税する前にこういう優遇制度から廃止すべきだと思いますが、増税するたびに特定業界の複雑な例外が増えていくんですよね、自民と公明の政権では。
おそらく今回の件は、以下の税理士事務所の解説に書いてあるようなことが起こったのではないかと思います。
この制度の適用を受けた場合、通常の所得金額から免税分を控除した金額が確定申告書に記載されるため「雑損控除や医療費控除などの控除額の計算の基礎となる総所得金額は免税金額を控除した金額で判断するのか?」のような質問をよく受けますが、答えはNOです。
これら判断をするときは、免税金額控除後の所得金額ではなく、通常(控除前)の所得金額で判断されるからです。国民健康保険料や後期高齢者医療保険料の算定の基礎のなる所得金額も同様に、通常の所得金額で計算されます。
32件の農家さんがどれくらいの所得を得ているかは知る由もありませんが、課税漏れが全部で3年間で1000万円程度ということですから、1件あたり3年間30万円(年間10万円程度)の課税がされていなかったということでしょう。税率20%程度とすると毎年50万円から100万円程度の売上を所得として計上していなかった、という感じでしょうか。
おそらく、農家の側も所得隠しの意図は全く無く、市役所の方も複雑な特例のため確認ができなかったということではないか、と推測します。仮にこれが原因だとして、宮崎市がきっかけで他の市町村でも同じ問題に気づいて謝罪をするところも出るんじゃないですかね?
ヤフコメには公務員の不手際を責めるようなものが多く並んでいますが、私個人的な意見としては、「こんな不平等な優遇自体を見直すべきなんじゃないの」、という感想を持ちます。
労働生産性が低く、財務の透明性も低い零細農家の税を優遇するために、市役所の職員のリソースを複雑な条件のチェックで浪費する形になっていますし、そもそもなんで牛肉だけ優遇されるんでしょう?
私個人的な政治的な主張としは、
「資本集約度が低く労働生産性が上がらない産業ばかりの宮崎には、資本集約度・労働生産性が高い大企業を呼び込み、既存の産業も財務の透明性や労働生産性を上げるような政策を進めるべき」
と考えていますから、今回問題が発覚したような、「ある特定の業界(自民党の支持母体)だけが得をする」地域の税収の向上にも雇用の創出にも貢献しない零細事業者への過度な優遇制度は廃止する方向に進むべきだと思います。