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米国が国連安保理で拒否権を行使せず、イスラエルに武器禁輸を行えば世界は平和になる
イスラエルが国際法を無視し、国連を軽視する契機となったのは、1948年から49年にかけて戦われた第一次中東戦争の結果、占領した地域をすべてイスラエルの領土と認めたことだった。イスラエルによる既成事実を国連は覆すことができないとイスラエルは判断することになった。イスラエルは、エジプトとの平和条約でシナイ半島を返還したことはあるものの、軍事的に手にした地域はすべてイスラエルの領土であると見なすようになった。
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また、イスラエルが国連を軽視するようになったのは、米国がイスラエルに不利な決議が安保理で成立しそうになると、常に拒否権を行使することが要因としてある。米国はイスラエル関連で40回も拒否権を行使してきたが、米国の拒否権の行使は国際社会の危機をますます増幅させるばかりだ。米国が国連で拒否権を行使せず、イスラエルに対する武器禁輸を行えば、イスラエルによる大量殺戮(=ジェノサイド)や国際法違反の問題も解決するに違いない。
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イスラエルはレバノンやイランなど近隣諸国を敵に回しているだけではなく、国際法や国連決議を破ることによって、全世界を敵に回している。第二次世界大戦後の世界秩序は国連と国際法によって保たれているが、国連の司法機関である国際司法裁判所は7月、1967年から続くイスラエルのヨルダン西岸と東エルサレム占領を不当と判断し、これらの地域からイスラエル軍と入植者が撤退することを求める判断を行った。この判断を受けて、9月、国連総会もイスラエルが1年以内に西岸・東エルサレムから撤退することを要求する決議を成立させた。
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イスラエル軍が南レバノンに駐留する国連軍(国際連合レバノン暫定駐留軍:UNIFIL)を攻撃したのは先日も書いた通りだ。10月10日と11日、イスラエル軍はUNIFILの3つの陣地に攻撃を行い、UNIFIL本部の監視カメラに発砲して破壊し、その後イスラエル軍戦車が突入して本部ゲートを破壊した。国連の平和維持軍に対する攻撃は戦争犯罪だが、1978年にUNIFILのミッションが始まって以来、イスラエル軍はアイルランド、ノルウェー、ネパール、フランス、フィンランド、オーストリア、中国から派遣されたUNIFILの要員を殺害してきた。イスラエルの傀儡の「南レバノン軍」は、イスラエル軍以上にUNIFILの監視員を殺害し、337人のUNIFILの要員がこれまで犠牲になった。UNIFILは1948年以来、国連の平和維持活動の中で最も多くの犠牲者を出している。現在、UNIFILにはイタリア、フランス、スペイン、インドネシア、ガーナ、ネパールなど50カ国が参加し、1万人以上が活動を行っているが、この50カ国の政府はすべてイスラエルの最近の攻撃を一斉に強く非難した。
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イスラエルが攻撃する国連機関はUNIFILだけではない。イスラエルは昨年10月7日以来、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)が運営する学校、倉庫、援助車列を攻撃・爆撃したり、あるいは230人の職員を殺害したりしてきた。実に悪質な行為だ。UNRWAは、第一次中東戦争の結果、難民として逃れた70万人のパレスチナ人を支援するために、1949年に国連によって創設された組織だ。
UNRWAは1949年に発生した難民だけではなく、その第二、第三、あるいは第四世代などの難民にも支援を行っているが、UNRWAに登録する難民が増えれば増えるほど、イスラエルの領土に帰還を希望する難民が増えるため、イスラエルはUNRWAの解体を長年主張してきた。イスラエルはUNRWAがパレスチナ難民問題を永続化していると訴えてきた。イスラエルは昨年10月7日のハマスの奇襲攻撃にUNRWAの職員が関与していると主張し、日本などG7の国々はUNRWAに対する資金提供を停止したが、イスラエルが明確な証拠を示さないと資金供与は再開された。
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現在、イスラエル国会は3つの反UNRWA法を検討している。一つはUNRWAがイスラエルで活動することを禁じること、二つ目は国連職員に与えられているイスラエルの法律的保護をはく奪すること、三つ目はUNRWAをテロ組織と認定することだ。イスラエルの極右議員はエルサレムのUNRWA本部の土地を没収し、そこにイスラエルの入植地を建設することを提案している。これらの法案が成立すれば、パレスチナの人々にUNRWAや国連が援助を与えることが不可能なほど困難になる。
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イスラエル問題に関する国連における米国の妨害は問題の解決にならないばかりか、暴力と混乱を助長するばかりだ。国連のメカニズムは大規模紛争と大量殺りくが二度と起きないように、米国主導の下に構築されたが、このメカニズムを再び活性化するために、世界は声を大きくして米国にイスラエルに対する武器禁輸と、拒否権の不行使を求めなければならない。
表紙の画像は「イスラエルに武器禁輸を
トロント、カナダ」