
#17 “下半身太り”の原因は?
パーソナルトレーナーの宮谷です。
今回は女性のお悩みに多い“下半身太り”をテーマにお話しさせていただきます。
“下半身太り”は食事でカロリー制限してもなかなか痩せません。
ではその原因は何なのか?
“下半身太り”とは?
一般的に“下半身太り”と言われる体型は、上半身は細いのにお腹周りから下の下半身(特に太ももやお尻周り)だけが太っているように見えることを言います。
膝上や太ももの付け根辺りから細身のパンツが履けないというお悩みをよく聞きます。
お腹周りの脂肪が取れないというお悩みも多いですね。
またはお尻がたるんで大きく四角く見えたり、たるんでお尻がペタンコに見える。

この現象は不良姿勢が原因で、日常生活の中で過剰に一部の筋肉に負荷をかけてることで太ももが張ってしまったり、お尻が大きくなったりペタンコになったりするのです。
ではその不良姿勢はどんな姿勢なのか?解説していきます。
“下半身太り”になりやすい姿勢
“下半身太り”は、骨盤の歪みによって起こります。
大きく分けて骨盤を前に突き出す“骨盤後傾型”、お尻を突き出すようにする“骨盤前傾型”があります。
後傾型と前傾型では少し太り方の特徴が違うので説明します。
骨盤後傾型

上図のようなお悩みはありませんか?
骨盤後傾型の人は身体を反らせることが苦手です。
頑張って反るとお尻と腰の境目くらいが痛みます。
また太もも裏のハムストリングスやお尻の大臀筋が硬く縮まってることから、立位体前屈をすると太もも裏が張って痛みます。
また腰痛は骨盤後傾型の人のほうが多く発症する傾向にあります。
骨盤を前に突き出すように立つので、胸を張ろうとすると重心が後ろに移動して身体が仰反るように倒れてしまいます。
ですので、バランスを取るために上体を屈めてしまい猫背姿勢になりやすくなります。

骨盤下部を前に突き出す(後傾)させることにより、股関節を外側に捻る(外旋)ので骨盤が開いてしまい、お尻の筋肉も縮まって硬くなり上手く使えないことから、たるんで大きく四角いお尻になります。
またガニ股姿勢になるのでO脚になる危険性もあります。
男性のメタボ体型の多くが、この姿勢に当てはまります。
骨盤前傾型

骨盤前傾型の人はもともとから反り腰姿勢なので、反ることは得意です。
しかし立位体前屈での柔軟性チェックでは、腰回りの筋肉が硬く縮まってることから腰を丸める(屈曲)ことができず、腰が痛くて屈むことができないのが特徴です。
お尻を突き出して腰を屈める姿勢なので、上体が前方に倒れないために反ることでバランスを保つため、腰椎が過度に曲がる(過前弯)ことで腰に負担がかかって腰痛が発症します。
現代では骨盤の後傾や前傾の関係なく、デスクワークや“ながらスマホ”で巻き肩からの猫背姿勢が多いのが現状です。

お尻を後ろに突き出す(前傾)ことにより太もも前の筋肉が縮まって硬くなり、重心も前方にかかることで太もも前が張って太くなってしまいます。
また股関節を内側に捻る(内旋)ことにより、太もも付け根付近の【大腿骨の大転子】が出っ張ってしまいます。

極端な例ですが、反り腰で内股立ちする方がなりやすい体型です。
このモデルさんはX脚にもなってる気がしますね。
外国の方に多い体型でもありますね。
それはそもそも外国の方が骨盤前傾型が多いことが所以です。
結論
「骨盤の後傾・前傾ともに“下半身太り”はする」
結果的に不良姿勢は“下半身太り”をさせてしまいます。
人間の身体は360°筋肉で覆われています。
姿勢が崩れることにより一部の筋肉に過度に負担をかけてしまい、拮抗する形で負担を軽減する筋肉が働かないことにより脂肪が溜まってしまい太る原因になるのです。
なぜ姿勢は崩れるのか?
文明の発達で“座りっぱなしの生活”が多い現代において、下半身の筋力低下が1番姿勢を崩れさせる原因になってると僕は思います。
運動習慣がなくあまり歩かない方は加齢による筋力低下を助長してしまいます。
特にゲームやスマホ・パソコンが普及してから生まれた世代は、幼少期から外で走り回るよりも座ってそれらを操作してる時間のほうが長いため深刻です。
10〜20代の若い子を見ると、骨盤を後傾させてどちらかの脚に体重を乗せて立ち、イスに浅く腰を掛けて後傾させたまま背中を丸めて座り、でも歩くときは骨盤を前傾して反り腰姿勢って感じです。
そもそも骨盤を安定させる筋力が不足してることから、安定しないことで不良姿勢を作ってしまっているのだと思います。
しかしながら上に挙げた“骨盤前傾型”や“骨盤後傾型”はあくまで基本的な例であって、すべての人がこれに当てはまる訳ではありません。
立ち姿勢の時に長時間どちらかの足に体重をかけてたり、脚を組んで座わることが原因で骨盤が捻れるように歪む場合があります。
簡単に言うと骨盤の左側は前傾してるのに、右側は後傾してるというケースもあり得るのです。

“下半身太り”を解消するには?
「下半身太り = 骨盤の歪み」ですので、姿勢を改善することが“下半身太り”を解消する1番の近道です。
まずは“ヤンキー座り”をしてみてください(笑)

「こんなの簡単!」と思っていても意外にできない人多いですよ。
①太ももと上体がくっつかない方は【股関節】
②お尻がふくらはぎにくっつかない方は【膝関節】③かかとが浮いてしまう方は【足関節】
が硬いのが原因です。
この硬さが不良姿勢を起こす原因になってますので、まずはストレッチで伸ばしてみましょう!
〈股関節・膝関節が硬い方のストレッチ〉





〈足関節が硬い方のストレッチ〉


ストレッチでしっかり筋肉をほぐしたら、今度はトレーニングで下半身を鍛えて骨盤を安定させ、下半身太りを解消しましょう!
〈下半身太り解消トレーニング〉



まずは正しいフォームで10回を目指しましょう!
スクワットは簡単そうに見えて、実は難しいメニューです。
正しいフォームで初めからできる人はほとんどいらっしゃいません。
ここでよく見かけるNG例を挙げていきます。


スクワットは脊柱・股関節・膝関節・足関節の柔軟性が低いと正しいフォームで行うことはできません。
しっかりとストレッチで柔軟性を高めてからチャレンジしましょう!
なかなか正しいフォームで上手くできないと言う方は、最初はイスか何かに掴まって身体を支えながら行うことをオススメします。

スクワットをすると足は太くなるの?
よくスクワットをすると足が太くなるのでは?と心配されるお声を聞きます。
「足を細くしたい」と思われる方は心配になりますよね。
答えとしては、「正しいフォームでゆっくり動作させるスクワットならならない!」です。
“下半身太り”の原因は不良姿勢で、骨盤の歪みが下半身を太らせてしまうことはもうお伝えしました。
不良姿勢での太ももの太さは筋肉がついてる訳ではなく、筋肉が縮んでカチカチに硬くなって浮腫んでるためです。

不良姿勢のままスクワットをすると、日常生活で過度に使い過ぎてる筋肉ばかりに負荷がかかってしまうので、余計に筋肉を張らせて浮腫ませる原因になりえます。
大切なことは正しいフォームで行うことです!
またゆっくり行うことも重要です!
筋肉は「瞬発的なパワーを出す【速筋繊維】」と「日常生活で身体を支えるために使われる【遅筋繊維】」で出来ています。
速筋繊維は「パンプアップして太くなる」性質があり、遅筋繊維は「筋肉の持久力を上げて体幹を安定させる」性質があります。
速筋繊維は身体の表面を構成しているため、速筋を鍛えるとムキムキにパンプアップします。
遅筋繊維は身体の体幹を支えるインナーマッスル(深層筋)に多く、鍛えることで目には見えないコアをパワーアップさせることができます。
見た目の違いで例えるなら、“100m走選手”と“マラソン選手”の足の筋肉の違いです。

100m走選手は短時間に瞬発的な筋力発揮をするための練習を重ねるので、速筋繊維が鍛えられて足はパンプアップしてムキムキになります。
マラソン選手は長距離を何時間もかけて走れるための練習をするので、遅筋繊維が優位に鍛えられ筋持久力は上がりますがパンプアップはしません。
「高負荷で低回数の瞬発的なスクワット」は速筋繊維を刺激して筋肉を大きくし、「低負荷で高回数のゆっくりなスクワット」はインナーマッスルの遅筋繊維を育てるため、見た目の筋肉は大きくならないのです。
また筋肉をムキムキさせたくなく、効率よくカロリーを消費させたい女性には有酸素運動(エアロビクス)は効果的です!
以下の記事で触れている有酸素系エネルギー産生システムの【解糖】【酸化機構】も優位に働くため、炭水化物や脂質のカロリー消費にも効果あります。
ただ有酸素運動で女性に気をつけていただきたいのが「クーパー靭帯の損傷」ですので、走る前にお読みください。
まとめ
“下半身太り”は骨盤の歪みが原因
骨盤の歪みは下半身の筋力低下が原因
骨盤の歪みを直すことが“下半身太り”を解消する近道
“下半身太り”は下半身のストレッチとスクワットで解消できる
色んな姿勢の方を見させていただいて思うことが、骨盤の前傾・後傾関係なくお尻(大殿筋・中殿筋)や太もも裏(ハムストリングス)の筋肉が上手く使えていない方が多いことです。
これはつま先寄りの重心になることで太もも前(大腿四頭筋)に過度に負担をかけて使うことにより、背面の筋肉が働いていない状態になるからです。
下半身の関節の硬さや背面の筋肉が働かないことにより、スクワットもつま先より膝が前に出てしまう方が多いです。
まずはストレッチをしっかり行い、お尻や太もも裏をしっかり使う正しいスクワットをゆっくりした動作で行うことで“下半身太り”は解消できます!
悩まれてる方は今日からチャレンジしてくださいね!
今回もお読みいただき、ありがとうございました。
私事ですが、春過ぎに愛知県の名古屋駅裏で姿勢改善のパーソナルトレーニングジムを開業致します。
また詳しいことが決まりましたらnoteでもお知らせ致しますので、宜しくお願い致します。