世界でいちばん美味しいいちご大福が忘れられない
白くてやわくて甘ずっぱい。
いちご大福は皆さんお好きですか?
五年程前。初めて食べてから、わたしの人生を変えてしまったいちご大福があります。
その話を書いてみたいと思います。
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五年程前、群馬県の高崎に住んでいる友達とドライブへ出かけた時のことです。
車に乗り込むと「今日は絶対に連れていきたい場所がある」と言われました。
美味しいレストランかな?観光地かな?
ワクワクしながら車に乗っていると、友達が車を停めた場所は一軒の和菓子屋さんの前でした
象形文字のように書かれた
「微笑庵」の文字とあずき色ののぼり。
「話はあと。とにかく入って」
いやに急いだ様子の友達。少し不審に思いながら、急かされるままお店の中へ入りました。
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店内は普通の和菓子屋さんです。友達は脇目も振らずにレジに向かい、店員さんにこう言いました。
「ちごもち、二つください」
ちごもち?ちごもちってなんだろう。
なんだか可愛いけど。
お会計もそこそこに、友達が手渡してくれたのは、まーるい大福でした。
装飾のない透明なフイルムにつつまれたおもち。
外の求肥はすごく薄く、中からは真っ赤な苺がうっすらと透けている。
話を聞くと、友達はこの「ちごもち」なる物体が好きすぎて、取り憑かれたように微笑庵に通い詰めているんだそう。最近では良さを伝えたいという信仰心まで芽生えてきた。
これはその布教活動の一環とのことでした。
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二人とも待ちきれず話もそこそこにパクリ。
口の中にじゅわっと甘いいちごの味が広がります。
口を離すと、雪みたいに真っ白な中に堂々と鎮座するいちご。
こしあんではなく、白餡のいちご大福です。
驚くのはその甘さです。
いちご大福にありがちな酸味がほとんどない。そして、いちごの爽やかな甘みを邪魔しないように、白餡と羽二重餅を極限までうすくまとっています。
外側が薄くて主張しないので、いちごそのものに限りなく近い。でも甘くて、ほわほわで、ただのいちごよりもダントツに、確実に、美味しい。
これは… いままで食べてきたいちご大福は
なんだったんだ!
愕然としたわたしは、帰るまでずっとちごもちのことが忘れられず、帰ってからもちごもちのことばかり考えていました。
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その日友達から聞いたのは、配送はしていないということと、季節限定の商品だということ。
高崎にはなかなか行けないので、それからというもの、わたしは狂ったように白餡のいちご大福を探しました。
銀座、東京、新宿、赤坂、、、
有名なお店を巡り、いろんな白餡のいちご大福を食べました。それぞれ全部美味しかった。でも無意識にちごもちと比較してしまう自分がいる。
求肥が厚かったり、いちごが酸っぱかったり、あんこの甘さが足りなかったり。ちごもちと同じようなものはもちろん、似たようなものすら見つかりません。
配送が始まるんじゃないかと思い、ホームページも何度もチェックしました。すると、こんな文言まで見つけました。
どこまでわたしの心をかき乱せば満足するのでしょうか。
残酷。
ちごもちに会いたい。会って口いっぱいにあの瑞々しいいちごと柔らかいおもちを頬張りたい。そう思ってちごもちを焦がれて、はやくも五年になります。
群馬県産「やよいひめ」の極上品を使っているので、ちごもちを食べられるのは一年のうち半分だけ。今年も五月までしか食べられません。
宣言が解除されたら、今年こそ高崎まで食べに行きたいなあと思っている今日この頃です。
高崎に行かれる方は是非食べにいってみてくださいね。あと、オススメのいちご大福があれば教えてもらえると嬉しいです🍓