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準備の音
準備の音が好きです。例えば、コンサートが始まる前の観客同士のざわざわした感じ、あれすきなんですよねーー!分かりますか?みんなの期待がギューッと詰まってもうじっとしてられない感じ。あと、オーケストラなんかだとこれ。シーンとした会場で、演奏前の楽器のチューニング。まずオーボエが「ピーーーーー」っと『ラ』の音を吹く。間を置かずに続けてバイオリンやフルート達が「ブワーーーーーー」っと鳴らす。この瞬間にドキドキします。わぁー始まる始まる!!!これが準備の音。
ほかにも。
映画が始める前のフッと暗くなり静かになってからの「ビーー」っというブザーの音、甲子園のプレイボールの時の「ウウウウウゥ~」というサイレンの音、結果発表前の「ドロロロロロ・・・」というドラムロールの音、車に乗った後「キュルルル、ドゥン」というエンジンをかける音、クリスマスの「シャンシャンシャン・・・」という鈴の音、朝起きると聞こえる「トントントン」というまな板の音、いろいろあるよ準備の音。
さて、いずれもこの後に起こる出来事を知っているからこその予感なのでしょうが、急に始まるよりも準備の時間があることでより、本編を十分に味わえる気がします。
人との会話の中でも準備の音を作ることができます。その時は逆に「無音」が準備の音になります。「実はね、〇〇なんだよ」というときに、「実はね、、、、、〇〇なんだよ」という溜めでグッと次に出る言葉を目立たせることができるのです。
ところが便利な社会になるにつれ、この準備の音はどんどんなくなっていくかもしれません。スムーズで効率が良いということは準備の時間が短くなるということ。赤信号でもエレベーターでもレジを待つ間でもイライラするようになっているとしたら心が準備に耐えられなくなっているのかもしれません。そういうときには耳に注意を向けてみませんか。雨上がりだと分かる車のタイヤの音、遠くから近づいてくるような鳥の鳴き声、待機中の機械のブブブブブという音。
今まで気づかなかったいろんな準備の音を楽しんでみては。