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「知らなかった!オールスパイス」~一粒5〜8ミリの小さな実は三種の香り。料理広がる万能スパイス~

ある日、TVでオールスパイスを使った料理を紹介していました。
早速翌日から、私の所にもご質問。
「オールスパイスって何ですか?」
「オールスパイスって、スパイスをミックスしたものなんですよね?」

私は名前を聞くだけで、色、形、香り、調理法、使われている国、メインになる料理がパッっと出てくる。

でも、知らない人の方が多いんだ…。
これ、知りたい人や必要としている人に伝えたい

オールスパイスは、スパイス素人さんでも、
ちょっと使ってみるだけで玄人感がだせます。

よく聞かれる質問をヒントに、
エピソード~レシピまでをまとめてご紹介。
これを読むだけでオールスパイス星人になれます。
是非お料理にも使って欲しいです。


「オールスパイスって、スパイスをミックスしたものなんですよね?」

実は、これが一番よく受ける質問です。名前からそう想像するのも無理はありません。
でも実は、オールスパイスは単一の果実から得られる、れっきとした一つのスパイス。シナモン、クローブ、ナツメグの香りを同時に持つ、自然界の小さな粒。
別名「百味胡椒」「ピメント」とも呼ばれていて、5〜8ミリほどの可愛らしい球状の実です。

え?これ、ブラックペッパーじゃないの?

講演やセミナーでお話しする機会が多いのですが、このスパイスには学校でも教わる位の有名な歴史があります。

・16世紀、クリストファー・コロンブスが1494年の第二次航海でジャマイカに到達した際に発見。ヨーロッパに持ち帰る説
・スペインの探検家で医師でもあったフランシスコ・エルナンデスが、1570年代にメキシコでオールスパイスを発見したという説

当時のヨーロッパの人々は、一つの実からこれほど豊かな香りが広がることに驚いたとか。「新しいスパイス」として大切にされ、みるみるうちにヨーロッパ中で愛されるようになりました。

「どんな料理に使えばいいですか?」

これも、よく聞かれる質問です。実は、これほど使い勝手の良いスパイスも珍しい。
特に、お肉料理との相性が抜群。豚肉や鶏肉に下味付けするとき使うと、
お肉の美味しさを引き出してくれます。

ちょっとしたコツをご紹介します

オールスパイスとブラックペッパー、タイム、ローズマリーを混ぜ合わせた下味を作ります。このとき、オールスパイスは粒のままがおすすめ。
粉末だと、この深い香りは引き出しにくい。
これでお肉を数時間漬け込むと、焼き上がりの香りが格別になります。
ジャマイカが発祥のスパイシーなグリルチキン(ジャークチキン)はいい例です。

結構こんがり目!が美味しいの、ジャークチキン

魚料理でも

重宝します。白身魚を焼くときに少しふりかけると、魚の繊細な味を損なわずに、むしろ引き立ててくれるんです。サーモンをグリルするときに、オールスパイスとディルを合わせると、まるで北欧のレストランで食べるような本格的な味わいに。

お野菜との

相性も抜群です。根菜類の煮物に入れると、野菜の甘みが増します。特に、カボチャ、人参との相性が良くて。私のレシピはこちら↓

スープを作るときは、玉ねぎとニンジンを炒めるときに少し加えてみてください。野菜の甘みと旨味が見事に引き立ちますよ。

フルーツとの相性もお伝えしたいです。
私のレシピを紹介させてください。

想像していなかった世界が広がる味で、とても良く作ります。
我が家ではもはや定番。

嬉しい健康効果は??

このスパイスには嬉しい健康効果もあるんです。抗炎症作用のあるシネオールや、クローブと同様に抗酸化作用の高いオイゲノールという成分が含まれています。

老化を遅らせる

「体がサビる原因ともいわれる老化を遅らせ、若々しい細胞を維持する手助けをする」と学びました。
若い細胞の維持の他に、ダメージを受けた細胞の修復や免疫力向上などの働きから、動脈硬化やがん予防にも期待されています。

糖尿病予防の効果

最新の研究では、オールスパイスに含まれる成分に、体内で糖を作るアミラーゼやグルコシアーゼの生成を抑制する働きがあり、糖尿病予防の効果を示唆する研究結果も出ているようです。糖尿病予防への可能性も注目されています。

消化を助ける効果

お肉料理や少し脂っこい料理に使うと、体にやさしい効果が期待できます。昔から経験的に、オールスパイスとお肉料理の相性が良いと言われてきましたが、そこには科学的な理由があったんですね。

世界中、あちこちで使われます

発祥の地ジャマイカでは、ジャークチキンという料理に欠かせません。

中東では

バハラットという人気のスパイスミックスの大切な材料になっています。
北欧ではクリスマスの季節、温かいワインに入れて楽しみます。

ドイツでは

ジンジャーブレッドのような伝統的なお菓子に

イギリスでは

ピクルス作りに

日本では

我が国では、まだまだオールスパイスの王道レシピは知られていませんが、
私はお漬物をアレンジする際に使っています。
市販の漬物を購入したら、一部小分けにしてオールスパイスをいれたり
これからきっと様々な使い方が広がっていくはず。

選ぶとしたらどんなもの?

つややかな黒褐色で、表面にシワがなく、
適度な重みのあるものを選んでください。
粒の大きさが揃っているものだと、お料理に使いやすいです。
香りを確認できる場合は、清々しい芳香があるものを。

保存するなら?

保存方法も大切です。光を通さない容器に入れて、直射日光を避け、冷暗所で保管して下さい。
しっかり蓋をし、空気に触れにくい環境を保ち、
粒のままなら1年以上香りが持ちます。
粉末の場合は3ヶ月ほどで香りがかなり落ちてきてしまうので、
少しずつ挽いて使うのがおすすめです。

四季の移り変わりと共に使ってみる

季節によって使い方を変えるのも楽しいです。

春は

新鮮なハーブと一緒に爽やかに

夏は

お肉のグリルやマリネに

秋は

根菜のお料理に

冬は

温かい飲み物やお菓子作りに

四季折々のお料理に、さりげなく寄り添ってくれます。

教室での小話

教室で嬉しい出来事がありました。
「スパイスって難しそう」と言っていた生徒さんが、オールスパイスを試してみた後、目を輝かせ「これなら私にも使えそう!」と。

購入できる先も増えています。
昔は専門店のみというイメージでしたが、現在ではネットだけでなく、
スーパーマーケットのスパイスコーナーでも購入可能です。

このスパイス、初めての方でも使いやすいのに、
プロの料理人も魅了されてしまう不思議な魅力
があります。

テレビや雑誌、Webでも、
オールスパイスを使ったレシピを見かけることが増えました。

日本の食卓に新しい香りの風が吹き始めているんでしょう。
きっと、素敵な料理の可能性が広がっていくはず。

オールスパイスやっぱりすごい

私は、「オールスパイスってスパイスのミックスなんですか?」と聞かれたら、こんな風に答えます。「1種類のスパイスで3種類の香りが漂う、香り豊かなスパイス。人々がその魅力に気づくまでにかなりの年月を要し、そして今、日本の食卓で新たな物語が始まろうとしている」と。

スパイスを仕事にして16年。
今でも私は、オールスパイスの新しい魅力に出会えることが大きな喜び。

みなさんも、オールスパイスから
お料理への新しい発見、楽しんでみてください。

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大平美弥|スパイスライフアドバイザー
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