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#133緩まるスキル。

先月、左腕を怪我をしたことをきっかけに、日々身体についてあれこれと調べ物をしたり、軽いストレッチを試したりしているわたしですが、先週からようやく40分程度の散歩を楽しめるようになりました(パチ、パチ、パチ、拍手の音)。

それまで、必要に迫られてスーパーに買い物に行ったり、図書館に出かけたりすることはありましたが「ただ散歩するために家を出る」ということが出来ませんでした。家までフラつかずに戻ってこれるかどうか心配でしたし、道路を走っている車を見てもまだドキドキするし、横断歩道を渡る時に「車が近づいて来やしないか!」と神経をピリピリさせることにも疲れを感じていたからです。

でも身体はやっぱり正直者。ずーっと家の中をうろついてるだけでは溜まってきたエネルギーを発散できないと、ウズウズし始めてきたのです。
「そろそろ、歩きに出かけるか」
大きな麦わら帽子をかぶり、スニーカーを履いて出発です。

約一ヶ月ぶりの散歩道は、生い茂っていた雑草が切り取られスッキリしていたり、早々と出来た栗がコロコロと道端に転がっていたり、夕方の風が予想以上に涼しかったりで、疲れを感じすぎることもなく清々しい気持ちで帰宅することができました。天気の良い日は「これがわたしのリハビリ」と思って、毎日同じコースをテクテク歩いています。

一般的に歩くのが健康に良いというのはよくいわれますが、今のわたしにとっては「血の循環(巡り)が良くなる」ことをすごく実感する運動です。動かせない左腕は、循環が悪く腫れたり固くなったりしやすいのですが、歩くと振動が伝わるのか少し柔らかくなります。

先週リハビリに行った際に、理学療法士の先生に調子はどうかと聞かれました。

「腕の浮腫みもとれて動かしやすくなってきて、後は夜間の痛みさえ取れたらって思うんですけど」(わたし)

退院後、4週間経ってもまだ夜になると痛みが強くなり、痛み止めも効かず、夜中に何度も目が覚めて「ウー、ウー」と心の中でゾンビのようなうなり声を上げては起き上がり、固くて熱を帯びた左腕をだらりと垂れ下げるという姿勢をとらなければ耐えられないという、悲しい苦行を一人続けてきたわたし。話を聞いた先生がおっしゃるには、
「肩から腕にかけての緊張が十分に取れてないのかもしれませんね」
とのことでした。

普段、わたしたちは眠っている間に、日中に生じた身体の緊張を緩められる体位を自然にとって眠ったり、寝返りを打ったりしています。ところが今のわたしは寝返りを打てないばかりでなく、左腕の緊張が抜けるような体位をきちんと作れていないせいで、痛みが増しているのだろうというのです。

「腕」と聞くと「肩から先の部分」をイメージしやすいですが、本当は肩甲骨の部分からが「腕」として機能しているので、腕を緩めるためには肩の後ろ辺りから力が抜けるような工夫をしなければいけなかったようです。

「上腕のリハビリで一番大事なことは、腕の力を抜いてもらうことです。筋肉に力が入らなければ、筋肉が柔らかいままで他動運動(人に動かしてもらう)ができます。そしたらより筋肉を伸ばしやすくなる。でも痛みがあると筋肉が固くなり、固くなると動かす時にも筋肉に痛みが出て、それを繰り返していくと『動かすと痛い』と頭が先に判断するようになってしてしまう。するとリハビリが思うように進まなくなるんですよ」

なるほどなあ。先生が動かしてくれる時は、信頼して腕を預けているので、比較的、肩の力は抜きやすいけれど、自分が日常生活動作を行う時は知らず知らずのうちに左肩に力が入っています。今のわたしの最重要ミッションは「転ばない」ことなのですが、それを意識しすぎるだけでも、ちょっと緊張したりするんですよね。

夜の腕の痛みについても、自分なりに考察してみると「夜がくる=腕が痛くなる」と頭の中では既にセットになっていて、そのイメージが痛みを余計に増強させていたのかもしれないなあと思い当たりました。

深呼吸したり、不要な身体の力を抜いたりする時に「緩めるぞ」と思い過ぎずに、「緩んでるかな〜」と身体に調子を尋ねてみるような感じで意識を向けるのがいいみたいです。「緩める」じゃなく「緩まる」スキルを上げていけたらいいなあ。





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宮本松
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