この男は行動を欲するがために行動しているのであり

(晋作は)「日ならず萩に入るだろう。おれはその日から消える。あとは頼む」と真顔で言った。

古今東西の革命の総帥が革命の成功とともに逃げ出すというような例は、絶無であった。

井上と伊藤が、問い詰めた。

「洋行でもするわさ」

・・・この男(晋作)は行動を欲するがために行動しているのであり、行動の終末が、たとえ革命の成功であれ栄達であれ、天性いやなのである。

《司馬遼太郎 世に棲む日日(四) 兵威の章》

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