「夏の空気」
スラッと開けはらった障子戸
縁側がある南の窓から
草木の匂いが入り混じる
湿りけのある風
去年と同じ
夏の香りがした
遠くで雨が降っていると
風の中に漂ってきて
ひやりとする夕暮れどき
夜の田んぼから響く蛙の鳴き声が
いっせいにピタリと鳴きやむ瞬間
恒例の蛙の合唱
日が暮れた後も
湿度だけが肌に残るように
生ぬるさがまとわりつく夏の風
暗闇の中の散歩で
じっとりと吹きぬける
梅雨を追い越し
定まらぬ季節の迷走は
暑すぎる真夏の序章かと
ひとり案ずる
小さくもはっきりと
ひと足早い夏の形が
濃いピンク色の
ゼラニウムの花に重なる
初夏の庭先
最近25℃以上の夏日と呼ばれる暑い日が多いからか夕方になると風の中に夏の匂いがします。
ああ今年もこの時期がきたなんだな、と思う香りでとても好きなのですがまだ6月の2週目。今年は少し早い気がします。
真夏のむしむしと湿度が高いのは苦手ですが今のところはそこまででもなく梅雨の前ということもあり少し早く小さな夏が来たのかなと感じました。
真夏といえば日が落ちた後の散歩がとてもスキ。
夜でも生ぬるい風なんですが昼間よりはずっと心地いいし後は真っ暗というだけでなんだかワクワクしてしまいます。
この小さな夏の訪れによって思い浮かんだ夏の好きな部分、その空気を感じてもらえたらいいなと思って書いた詩です。
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