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INEOS159〜キプチョゲの「フルマラソン2時間切り」を振り返る

すごい記録が誕生しました。

およそ10年前の論文では、「人類はフルマラソンで2時間を切ることはない」と結論づけられていましたが、まさかその記録をこう言う形で破られるとは、マーク・デニー教授も想像していなかったでしょうね。フルマラソンの記録が2時間1分台に突入した時点で、何かしらが起こるんじゃないかと言うそわそわした感情が湧き出てきていましたが、それが現実のものになりました。月並みですが・・・「すごい」の一言につきます。

今回のこの偉業に関して、何かしらまとめたいなと思っていました。RUNNING CLINICの中でもかしこまって色々と書いてみました

このnoteではRUNNING CLINIC内の記事を書くにあたっての裏話的なことを中心に書いていこうと思っているので、本編と合わせて読んでもらえたら嬉しいです。

◼︎INEOS159と時を同じくして

言わずもがな、日本は大変な災害に襲われていました。台風19号。(アジア名でハギビス/Hagibis、フィリピンのことばで「すばやい」と言うそうですね。)

このタイミングにスポーツで盛り上がることにはどうしても、抵抗感がでてしまい、熱心にレースの様子を観察することができませんでした。ライブ中継中はまさに外が大荒れでしたからね。テレビに映る台風のニュース報道をみながら、その傍で時々様子を見るINEOS159はなんだか別世界のことのように思えたと言うのが実は本心です。

ただ、今回の台風の災害に関して翌日に試合のあったラグビーW杯の日本代表選手が、こちらも同じく「史上初のベスト8進出」と言う偉業を達成した中で、試合後に浮かれることなく被災地を心配するコメントがとても印象的でした。

ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ):
「一言話さなくてはならないことがある。台風は人々を圧倒しかねない悲しい出来事だが、私たちの勝利を届けたい」
リーチ・マイケル選手:
「非常に嬉しいです。台風で避難している人たちに、少しでも勇気を与えられたと思います。今日はただの試合というわけではありませんでした。この試合に向けて気持ちを高めてきました。試合ができただけで嬉しいですし、応援をいただいてありがたい。今日はスキルだけではなく、気持ちの強さで勝てたと思います」
松島幸太郎選手:
「試合をしていいのかと思った」
「勝利を届けることが最大のメッセージになると思った」
姫野和樹選手:
「ラグビーでの結果を通して日本中に感動や勇気を引き続き与えていきたい」
トンプソン・ルーク選手:
「家などがダメージを受けた人は頑張ってください。私たちも頑張る」

スポーツ選手は、その存在と活躍で人々に想いを伝え、モノを語ることができる存在です。本当の優しさは滲み出るものなんでしょうね。なんだかその様子をみていたらツーンと目頭が熱くなりました。


◼︎INEOS159に対しての批判

今回のINEOS159でのサブ2チャレンジ(=フルマラソンで2時間を切る)では、キプチョゲ一人のために41人ものペースメーカーが彼を引っ張りました。すごい待遇ですよね。なぜ41人も必要だったかというと、安定したペースで彼を引っ張るためには、ペースメーカーに十分な余裕が求められるからです。2分50秒/kmというペースを42回刻むと言うことがどれくらいすごいことか・・・ランナーであればそれはすぐにわかると思います。

ペースメーカーも一流アスリートです。彼らをしてでも、余裕を持ってしっかり引っ張るためには「束になってかかる」必要があり、そういった条件が整えられました。そして空気の対流を利用して意図的に追い風状態を作るX字フォーメーションを組んでいました。自転車競技では空気抵抗を考えて集団で一人を勝たせると言う戦術は常套手段ですが、これをマラソンでやってのけることはこれまでそこまで考えられていなかったでしょう。ここまで徹底して一人のランナーをサポートしたことは未だかつてなかったことです。

その一方で、ここまで徹底した状況を見るにつけて、アンチの声が漏れ聞こえてしまいます。これだけ尖ったイベントであればそれも当然ですが、アンチの人の意見をまとめると、その多くが「ここまでして記録が出したいか?!」「本来のスポーツではない!」という論調のものでした。

一見すると「やりすぎ」に映るかもしれません。ただ、実際に走ったのは生身の人間です。プレッシャーも相当だったでしょうし、ランナーとしての努力やこれまでの積み重ねをみないでその批判はできないのではないでしょうか。マラソンはギリギリの条件の中で走るスポーツです。計算された挑戦にみえても、一度リズムを崩したり、ほんのわずかな見込違いがあれば大きく崩れてしまいかねません。

物事をもう少し優しく見て、アスリートのチャレンジとその達成を素直に喜んでいいのではと思ってしまうが、僕個人の意見です。


◼︎キプチョゲの偉業の先にあるもの

アスリートの挑戦には終わりがないと思っています。現役で競技を続ける限りは何かを求めたり、何かに挑んだりしながら生き続けるものでしょう。次は、公式記録でのサブ2を狙うのでしょうか?それともオリンピック二連覇?

本人が望むものは僕にはわかりませんが、来年の東京オリンピックでその走りが見れたらワクワクするでしょうね。

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宮川 浩太@RUNNING CLINIC院長
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