膝窩筋のリリース方法〜膝痛に対処できる簡単アプローチ〜
パーソナルトレーニングに訪れるクライアントの大半は「痩せたい」「筋肉をつけたい」というニーズをお持ちです。しかし、カウンセリングを進めていくと「実は肩がすごく凝っているんです」「腰が痛いんです」「膝が痛いんです」「猫背に困っています」「反り腰なのが心配で」と、身体の悩みをお持ちの人は少なくありません。当然、こうした悩みに対してできればケアしたい、痛みが出ないように改善したいと考えています。
クライアントから寄せられる慢性痛で、肩こりや腰痛と並んで多いのが「膝痛」です。膝痛といってもさまざまな原因が存在します。パッと思い浮かぶものでも、パテラ(膝蓋骨)の外側偏位・内側偏位の可能性も考えられるし、大腿直筋の硬縮、鵞足炎、腸脛靭帯炎などさまざまです。
今回紹介するのは、「膝窩筋」に対するアプローチによるケアです。上で紹介した原因で考えると、鵞足炎へのアプローチに近いかもしれません。
膝窩筋の起始停止と作用のおさらい
膝窩筋は名前のとおり、膝裏=膝窩に位置する筋肉です。起始部は大腿骨外側上顆の後面にあり、脛骨の後方内側上部に停止部があります。ちなみに、支配神経は脛骨神経です。
膝窩筋の作用は、膝関節の屈曲です。膝を屈曲させる筋肉は、大体二頭筋(短頭)を除けばこの膝関節が唯一の筋でもあります。また、膝窩筋は膝関節の内旋にも作用するわけですが、膝関節におけるスクリューホームムーブメントにおいてこの作用はとても重要です。
軽くおさらいになりますが、ヒトの膝関節は屈曲時に下腿の内旋+大腿の外旋という作用が生じます。この「ねじれ」が生じることで、ヒトはしゃがんだり立ったりという動作をスムーズに行えるわけです。このねじれの作用が起こる構造を「スクリューホームムーブメント」と呼びます。
しかし、なかにはこの動作とは逆の動きが起きているヒトもいます。つまり、膝関節屈曲時に下腿の外旋+大腿の内旋が起きているということ。その場合、内股でつま先が外に開いてしまうような不良姿勢になってしまうため、改善の必要があります。
ここから先は
Anatomy Special Magazine
解剖学に関する記事を月に最低3記事更新していきます。 トレーナー及び運動指導者、健康に関する従事者が楽しめる内容となっております。 レベル…
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?