円背のアプローチその2~下肢も意識したケアの方法~
一般的には猫背として知られる状態は、正確には「円背(えんばい、えんぱい)と呼ばれます。脊柱の中でも、胸椎の後弯によって背中が丸まっている状態です。骨粗鬆症による脊椎の変形、脊椎の骨折による変形、先天的な脊椎の変形により生まれます。
前回は、後天的要因による軽度の円背に対して、どのようなトレーニングが有効か紹介しました。
今回紹介するのは、円背のケアの方法です。全身を意識したケアを紹介するので、ぜひ活用してみてください。
仰臥位でのアプローチ①上肢の4筋をケア
肩甲骨には烏口突起と呼ばれる、身体の前面にセリ出ている部分があります。この部分には4種類の筋肉(小胸筋、大胸筋、上腕二頭筋・烏口腕筋)が付着していて、これらの筋群の緊張(短縮)が、円背の原因につながります。
①小胸筋へのアプローチ
脇の下から肋骨に手を沿わせ、押し込むようにリリースしていきます。男性トレーナーが女性のクライアントに施術する際は、結構デリケートな部位を触るので要注意です。相手が深いに感じないようやや下から骨に沿ってアプローチしていきましょう。
②大胸筋を介して小胸筋へのアプローチ
腕の付け根に対して、トレーナーが上腕で圧をかけていきます。
③上腕二頭筋・烏口腕筋へのアプローチ
上腕に対して、体重移動により圧を加えていきます。
上腕二頭筋・烏口腕筋の停止部は橈骨です。停止部を抑え圧迫した状態で、上腕二頭筋にアプローチするのがポイントです(写真では、左手で橈骨を抑えつつ右手で上腕二頭筋をリリースしています)
仰臥位でのアプローチ②ハムストリングスへのアプローチ
ハムストリングスの硬縮が骨盤に悪影響を与え、姿勢の悪化→円背を誘発します。円背改善は姿勢改善でもあるので、しっかり下肢にもアプローチしていきたいですね。
円背の場合、筋肉が短縮していても、伸張していても筋肉が「緊張」している場合が多い。この緊張を取るための手技を紹介します。
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