体重・体型は変わらなくても内臓が危ない!?~食物繊維不足と糖質過多に関する最新研究が示す衝撃の事実~
ダイエットやボディメイクにおいて、重視されるのは体重などの定量的側面と見た目などの定性的側面です。しかし、この2つだけにフォーカスを当てすぎると、思わぬ落とし穴が待っている可能性があります。
現代の食生活は便利で豊かになった反面、私たちの健康に潜在的なリスクをもたらすこともあります。特に、現代人の食生活は糖質の多い食品や飲料が豊富に存在する一方で、食物繊維の摂取が不足しがちです。
このような食生活は、体重が増えないにもかかわらず、肝臓に脂肪が蓄積される「隠れた脂肪肝」を引き起こす可能性があることが、最近の研究で示されています。
このnoteでは最新の研究結果に基づき、肝臓に脂肪が蓄積されるメカニズムと、それを防ぐための日常生活での食事改善策について詳しく解説します。
健康的な体重でも肝臓に脂肪が蓄積する?
まず、肝臓の脂肪蓄積(脂肪肝)は一般的に肥満や糖尿病と強く関連していると考えられています。体重が増えると、内臓や皮下脂肪が蓄積するだけでなく、肝臓にも脂肪がたまりやすくなるためです。
しかし、最近の研究は、必ずしも体重増加や肥満と関連せずに、肝臓だけに脂肪が蓄積されるケースがあることを示しています。いわゆる「隠れた脂肪肝」です。
隠れた脂肪肝が問題なのは、自覚症状がなく進行する可能性があるためです。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、多少のダメージでは痛みや不調を感じにくい臓器です。
健康的な体重を保っているつもりでも、肝臓に脂肪が蓄積され続けると、最終的には脂肪肝から脂肪肝炎、さらには肝硬変や肝臓癌といった深刻な状態へ進行するリスクが高まります。
現代の食生活が肝臓脂肪に与える影響をマウスで調査
2024年に発表されたある研究は糖質が多く食物繊維が不足する現代の食生活が、肝臓に脂肪を蓄積させるかどうかを調査しました。具体的には、マウスを用いて、グルコース(糖)が多く含まれ、食物繊維が全く含まれていない食事(HGD:high glucose diet)が、肝臓に与える影響を検証しました。
現代の食生活では、甘い飲み物やお菓子、加工食品などが豊富にあり、それらに含まれる糖分は非常に高い一方で、精製された炭水化物(白米や白パンなど)は食物繊維をほとんど含んでいません。
食物繊維は、腸内での糖や脂質の吸収をゆるやかにし、血糖値の急上昇を防ぐ重要な栄養素です。しかし、食物繊維が不足した状態で糖質を大量に摂取すると、肝臓に過剰な糖分が送られ、脂肪として蓄積されやすくなります。
この研究では、5週齢のオスのマウスに通常の食事と、グルコースを多く含むHGDを7日間と14日間与え、その間に肝臓の脂肪蓄積の状況を調査しました。特に、体重や内臓脂肪の変化に注目し、HGDが肝臓にどのように影響を与えるかを詳細に分析しました。
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